小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

紅茶とマドレーヌ vs 揚げ油のにおい

2007-08-25 23:59:11 | 小説
昨日は、柏で恒例の「餃子を食べる会」がありました。
久しぶりに名物の餃子を楽しく味わいました。
というわけで、今日のお題となりました。(あまり関係ないですけど。)

『失われた時を求めて』の中で、紅茶に浸したマドレーヌの匂いと味が甘美な記憶を呼び覚ますシーンが有名ですが、藤枝静男の『空気頭』には、ギョーザ屋(もしくは飲み屋?)から漂ってくる揚げ油のにおいが、留置所での苦い体験を甦らせます。
この対照は、十世紀の小説の最高傑作といわれる世界的小説と、とってもイカレタへんてこな日本の「私小説」との違いを象徴的に反映しているようで面白いです。
(おそらく、プルーストのパロディーというわけでしょうが。)

私にとっては、どちらも素敵な傑作です。
つくづく小説というジャンルの幅の広さに感心します。
ぜひ、二つの小説を読み比べてみて下さい。
(『失われた時を求めて』はあまりにも長いですが、紅茶とマドレーヌのエピソードは最初の方なので)


田紳有楽;空気頭 (講談社文芸文庫)
藤枝 静男
講談社

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 残暑の日々 | トップ | 日傾くころに »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事