現代へのまなざし

日本とはなにかを探求します。

令和日本-滅びの道を歩むのか-

2020-01-18 10:52:17 | 政治
 平成から令和になった2019年も終わり、2020年になった。平成とはどのような時代だったんんだろうか。
 平成は、バブルで明け、デフレで終わった。平成になった時代、多くの人々はバブルに踊っていたが、やがてバブルは崩壊、阪神淡路大震災という大災害を経験する一方で、企業は過剰な労働力を削減し、金融機関は不良債権の処理、経営健全化を図ったことから、就職氷河期世代を生み出し、そのため非正規雇用が拡大し、社会の安定をもたらす中間層が減少していった。他方、グローバリズム(新自由主義)の導入により労働生産性は上昇したが、労働者の賃金は上昇しない一方で、世界金融危機(リーマンショック)によって大きく冷え込んだ時期があったものの、法人税減税などで企業利益は膨れあがり、株主配当や企業の内部留保は増え続けたるなど、人々の間の格差が拡大した。
 グローバリズムの痛みに耐えかねた人達は政権交代を選択し民主党政権が成立した。しかし、自民党や財界など既得権益層からの総スカンを食らった民主党政権は、東日本大震災の影響もあり、3年ほどで瓦解。有権者は再び自民党政権を選択した。
 安倍政権は、異常な金融緩和、リベラル政策を含む(野党の政策を呑みこんだ)財政のバラマキによって、有権者からの支持を得ているものの、基本的にグローバリズムの中での経済運営であるため、人々の格差拡大は止まらず、それゆえ国内消費は低迷したまま、停滞感に満ちたまま平成の時代は終わった。この間、少子高齢化がどんどん進み、人口減少問題によって日本の潜在成長率は低迷したままとなった。この平成の終焉においてもアベノミクスという異常な経済政策が続いており、日本社会の持続可能性が大きく損なわれた。

 この平成時代で行政も大きく変わった。最も大きな変化は、内閣人事局の設置がもたらした。
 国有地が安倍総理夫人である安倍昭恵氏の口利きなどで不正に売却された森友学園問題では、財務省内部で公文書の改ざんが行われた。この公文書改ざんについて、当時の理財局長であった佐川氏は、国会でまともに答えることなく、虚偽答弁まがいの答弁に終始し、不都合な真実を隠蔽した。また、安倍総理の友達である加計孝太郎氏が経営する加計学園に対し、国家戦略特区を利用し、不正に獣医学部新設を認めた加計学園問題についても、官僚はまともな答弁をしなかった。また、女性へのレイプ事件についても、容疑者が安倍総理に近い人物だという理由で、当時の中村格警視庁刑事局長(現警察庁次長=警察官僚ナンバー2)が逮捕状を握りつぶす案件もあった。さらに「桜を見る会」にいたっては、内閣府の官僚が証拠書類を廃棄し、不正を隠蔽したのである。
 とにかく出世をしたいキャリア官僚の人事を内閣官房長官(法的には官房副長官)が握ったことで、官邸の意向にのみ従い、事実を隠蔽し、さらに改ざんまで行う官僚が生み出されたのである。官邸に従うキャリア官僚には「正義」という文字、「全体の奉仕者」という言葉は存在しない。出世のためなら詭弁を弄し、虚偽答弁を行う愚かな官僚が政権のために働いているのである。

 さて、日本にとっての最大の問題は「少子化」である。子供の数は減り続けている。団塊の世代は、年間260万人もの出生者によって形成されていた。しかし、令和元年の人口動態統計の年間推計では86万4千人とピーク時の1/3程度まで減少している。生産年齢人口はどんどん減り続けていく、つまり、社会を支える人達が減り続けるのである。
 国は、少子化に対する抜本的な解決策を提示することもできず、幼児教育・保育の無償化というような小手先の政策に終始し、また、一億総活躍などと、老人や無職女性を働き手にし、労働者を確保しようという姑息な手法ばかりを取っている。
 少子高齢化が進展しているにも関わらず、政府は毎年度赤字国債を発行し続け、2020年度予算では約26兆円の赤字国債が発行される。2020年度予算についても、政権べったりの嘘つき官僚達が、税収を過大に見積もった上で,さらに税外収入を最大限見積もった上で、赤字国債発行額を少なく見せているのである。この借金を返済する次世代の人達が減っているにも関わらず、赤字国債を発行し続け、さらに発行額を少なくみせようとする、国民を騙す安倍政権。

 嘘と詭弁で塗り固められた安倍政権という戦後最悪の政権と、この安倍政権の下で嘘や詭弁まみれの官僚達によって、日本の持続可能性が損なわれているのである。
 このように壊れゆく日本の現実をどれくらいの人達が見つめているのであろうか。アベノミクスという粉飾経済政策について、株価が上昇した、株式配当が増えた、企業利益が増えた、企業の内部留保が増えたという、企業にとってのメリットばかり強調する愚かな人達がマスコミには多く登場するが、「大胆な金融政策」である日本銀行による異次元緩和によって歪められた債券市場や証券市場の問題を深く追求するものは少ない(日本銀行が保有する株は28兆円以上(28,264,736,352千円)(信託財産指数連動型上場投資信託)、国債は480兆円以上(481,562,150,325千円))(営業毎旬報告(令和2年1月10日現在))。
 また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用ポートフォリオの変更によって年金が株価引き上げに利用されている事実を報道することも少ない(国内株式の運用資産(39兆円弱)。「機動的な財政政策」である財政のバラマキによって積み上げられる赤字国債。国と地方を合わせた借金は既に1,000兆円を超えている。それでも更に借金を積み重ねる安倍政権。財政の持続可能性は既に失われているようである。そして「成長戦略」と称するものは国家戦略特区を使った安倍政権周辺企業や大学法人への便宜供与政策であり、企業への優遇策、租税特別措置法を利用した企業減税であり、また労働規制の緩和による労働者への待遇悪化であり、それらは企業のイノベーションをもたらすような政策ではない。

 平成の終焉と令和の始まりに、このような嘘と詭弁で塗り固められた安倍政権が存在していること自体が日本にとっての不幸である。しかし、このような政権が長期に継続するのは、政権を支持する有権者の存在があってこそなのである。不都合な真実を隠蔽する安倍政権、その安倍政権にとって不利益になるような報道を行わないテレビ局やその他の多くのメディア、さらに民主党への政権交代によって既得権益を脅かされた自民党や財界などはメディアを利用し「民主党政権=悪夢」というプロパガンダを展開し自民党政権の維持を図る。そして、政治に関心を持たず、正常性バイアスに染まった有権者。今の状況が心地よいと感じている人達が多いと思われるが、今の状況は持続可能ではないということに気づいておらず、現実を分析しようなどと全く思っていない人達が多く存在する。つまり多くの有権者が現実逃避に走っているような状況であり、このような有権者の存在が日本の持続可能性を失わせ、日本を壊していくのである。
(ちなみに、日本人の半数程度は論理的思考ができない。なお、安倍政権の支持率は40%~50%程度である。)

 論理的思考ができない安倍総理、その安倍総理に任命された大臣達も概ね論理的思考ができないのだろう。そして、論理的思考ができる官僚達は、その思考を国民のためではなく、安倍政権の維持のために使い、国民にとって持続可能性を失わせる政策を採用するという、国民にとっては非論理的ではあるが、安倍政権の延命には論理的なことをする、これは国民、日本国の利益を損なう行為であって、到底許されざる行為と言わざるを得ない。
 このような政権、官僚、そして非論理的有権者によって、令和の時代は平成以上に大変な時代になるだろう。その時に備えることが重要である。現状のままでは、阪神淡路大震災、東日本大震災などとは比較にならないような悲劇が令和の日本を襲うことになるだろう。さらに、南海トラフ地震や首都直下地震などの発生も危惧されており、これらが発生すると悲劇は大きなものになってしまうだろう。
 改革には痛みが伴う、その改革が多くの人々のためになるのであれば、それは我慢しなければならない。しかし、多くの有権者は痛みを嫌い先送りを選択する。そのため、選挙対策しか考えられない今の自民党政権には改革はできないだろうし、野党もまた同様だろう。そして、令和日本は滅びの道を歩むのである。
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