創発企業経営

起業13年目の会社の経営、事業報告

そうだ、僕は違った人生を生きよう (3)

2018年09月06日 | 経営

競争の基本戦略は突き詰めればコストリーダーシップと差別化の2つに集約される。

 

 

マイケルポーターによれば企業の競争戦略は基本的に2つです。ひとつは、コストリーダーシップ、もうひとつは差別化です。  (ポータは著書の「競争の戦略」で集中化をあげていますが、戦略とは集中が前提であり、後年には、基本戦略として集中化に触れなくなりました)

 

これは、競争環境における個人の差別化にも適用できると思います。

 

1) コストリーダシップは自社の属する業界で圧倒的な強さを確立し、納入までの総費用を業界で最低価格に作り上げる戦略です。価格の力で、シェアや収益の拡大を実現します。換言すれば、これは、人と同じことを徹底してやる度合いとスピードの勝負です。 このような戦略をどの企業も取れるわけではありません。一部の企業にのみ可能な強者の戦略といえます。

 

個人の競争戦略で言えば、これはNo.1になるということです。競争のルールが厳格であればあるほど、No.1になるのは難しくなります。 例えば、一斉学力試験や100m陸上など、1点、0.1秒の違いを追求する熾烈な競争です。ここでNo.1になれれば素晴らしいことですが、誰でもなれるわけではありません。 能力、努力に秀でた一握りの強者だけが取れる戦略です。

 

2) もうひとつが、差別化戦略で、買い手が重要と認める特徴を提供することにより、価値に見合った価格を正当化するという戦略です。差別化戦略は、製品、市場、販売方法、技術などユーザの求める価値に対して、自社の強みに基づいて、自分の得意な分野で勝負します。

 

同じゲーム環境なら大きいほど有利ですが、土俵が違えば、規模に関係なく強みを発揮することができます。差別化を追求する人から見れば、学力試験や100m走で1番になっても「それがどうした?」ということになります。

 

つまり、ごく一部の例外を除きすべての企業、すべての人は差別化戦略を採用すべきであるといえます。

 

個人のキャリアの差別化として考えると、ナンバーワンになるかオンリーワンになるかと言えるかもしれません。誰でもナンバーワンになれる訳ではありませんが、誰でも求められる価値に対して人より秀でることは、少ない努力で可能です。

 

その時、大事なのはユーザの求める価値を理解することです。 差別化やオンリーワンは自分のやりたいことを独善的にやることではありません。自分に対して何が求められているかを理解して、それに適した価値を提供するのです。

 

私の経験で、リーマンショックの数年後、外資の企業を辞めて、日本の会社の求人に応募したことがあります。企業からは何の返事も来ませんでした。 当時は買い手市場で応募者はたくさんいて、私は求められるニーズにあっていなかったのです。 企業に雇って欲しい人は世の中にたくさんいる。こういう競争環境で勝負しても疲弊するだけです。ではどうしたらよいでしょう?

 

まず、自分の強みを理解することです。 「私はxxをやりたい」ではなくて「私はxxができる」かを理解する。 次に、街に出て、あるいはなんでもいいから仕事をしてみて世の中に求められているニーズを探してみることです。

 

自分の好き嫌いは一時忘れて、無心に世の中で何が求められているか耳を傾けてみると、どこにでも切実なニーズが存在するはずです。世の中、全てが満たされているわけはなく、不足ばかりではないですか。 そのニーズに、自分の「できること」が結びついた時、それが、自分が勝てる環境になります。 それが個人の差別化戦略の第一歩だと思います。

 

 


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