創発企業経営

起業13年目の会社の経営、事業報告

創発企業経営 (1)

2012年05月04日 | 経営
すこしアカデミックな内容を記します。
このブログは創発企業経営と名付けています。 創発という言葉は世の中に広まっていないと思っていたのですが、既に昨年の時点で 米倉誠一郎著 『創発的破壊』 をはじめ 創発 をタイトルにした著書が幾つか出版されていることに気づきました。
 
創発(Emergent)という言葉に最初に触れたのは、今から10年程前、大学院の Management of Change という科目の中に組織行動学者 Karl E. Weick の理論として紹介されていました。  もともとは組織変化、組織変革に関する言葉という理解でした。
 
創発的変化(Emergent Change)は,計画的変化(Planned Change)と対比される考え方です。 組織変化はマネジメントにより計画されたものとして起こるものではなく、現場で日々行われる選択による創発的な変化により発生すると考えられます。   このため組織の経営者の仕事は、変化を作り出すことではなく、現場が何を言っているか、それが何を意味するかを理解し承認することであると考えられます。
 
以下、早稲田商学第423号 「組織変革と組織ルーティンのダイナミック性」 大月博司 著からの引用です。
 
創発的変革(Emergent change)は,計画的変革とは対照的に,明確な事前の意図を欠きながら組織行動を通じて新しい組織像を実現していくものである。それは,組織において構成要素の新しい適合関係が繰り返し模索され,共有され,増幅され,維持されることによる持続的な変革とも言える。また別の観点から言えば,組織を構成するメンバーの実践を通じて社会的に構成されるものである。したがって,創発的変革は,事前の意図的行動を伴わずに組織の変化を生み出す一連の諸活動において実現することになる。
 
通常,創発的変革が生ずるのは,人々がルーティン作業を再検討する場合,すなわち,日々の仕事状況において,障害要因,促進要因に直面した場合が多い。時間の制約が明白な計画的変革とは異なり,時間の制約より持続性を特徴とする創発的変革は,結果的に既存の枠組みを大幅に変えて,組織により強力な環境適応力や革新性をもたらすことがある。