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情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

言論の多様性を確保するには…

2005-09-06 04:27:02 | クロスオーナーシップ問題
新聞研究9月号に、フランスと韓国の新聞業界の話が掲載されている。フランスは規制がないため、新聞産業の4分の3が2大防衛グループの支配下に入った。あのフィガロもミラージュ戦闘機を製造している「ダッソー」グループの傘下に…。ダッソーの総帥は、98年に航空機汚職事件でベルギー最高裁から有罪判決を受けたとき、「私にとって大事なことは、新聞を所有して、なんでも勝手なことを書く記者たちに反論することだ」と述べたという。彼は夢を実現し、これからやりたい放題…。
片や、韓国。新聞法で一つの事業者の市場占有率が30%を超えた場合もしくは3つ以下の事業者の占有率が60%を超えた場合、不公正取引として課徴金が科せられる(通常は一事業者50%以上、3つ以下で75%以上)。この背景に、言論自体が市場の独占的支配構造を通じて権力化されたという批判の声があり、これを受けて盧武鉉政権が決定したという。これに対しては、保守派の3大新聞からは新聞への権力の不当な干渉だという批判が寄せられている。
この2国の新聞のあり方の違いは将来の2国の進路に大きな影響を与えそうだ。
個人的には、言論の多様性を重視したい。特に、ダッソーの総帥の発言は、何でも規制緩和をすればいいわけではないことを明白に示しているように思う。
市場の原理に委ねていい分野とそうでない分野があることをしっかり認識して、今回の政府の選択に臨みたい。

米4大ネットワークの規制緩和に向けた意向…

2005-08-25 07:15:48 | クロスオーナーシップ問題
民間放送8月23日号によると、米国ネットワークのABCが、米放送事業者連盟(NAB)に復帰すると発表したらしい。そもそも、ABCなどの4大ネットワーク(FOX、NBC、CBS)が、NABを脱退したのは、放送事業を管轄する連邦通信委員会(FCC)がネットワークがより多くの放送局を所有できるという規制緩和の方向を打ち出した際、NABが地方局支持の立場から、規制緩和に反対したためであった。

このたびの、ABCの復帰は、多様な言論を維持しようという立場からは歓迎すべきであると思う。メディアは、ただ儲かればいいという競争原理にさらすのではなく、多様な言論を維持するというルールのもとで競争するべきである。言論が寡占化すると、少数派の意見を代弁する媒体がなくなり、また、メディア同士が互いに切磋琢磨する傾向が失われるからである。

ほかのネットワークの動向が気に掛かるところではある。ちなみに、一番最初にNABを脱退したネットワークはFOXであった…。やっぱり、というか…。

http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/c919e345d3e1561535e479e434f2a625で紹介した本にFOXのことが書かれています。

米国でメディアの系列化に待った…米最高裁決定

2005-08-11 06:38:09 | クロスオーナーシップ問題
ちょっと古い話ですが、とても重要な判例なのでご紹介します(新聞協会報6月28日参照)。

時系列的に説明します。

まず、米連邦通信委員会(FCC)が2003年に、日刊新聞と放送局の兼業規制を緩め、同一市場で複数の放送局と新聞の所有を大幅に認める新ルールを策定した。

これに対し、市民団体が提訴し、連邦巡回裁判所(03年9月)及び連邦高裁(04年6月)は、審議不十分として、FCCの新ルール適用を差し止める決定をした。

これに対し、メディア側が米連邦最高裁に上告したが、同最高裁は、05年6月13日、上告を棄却した。

この棄却により、新聞とテレビ局の系列化を防ぐことができた。
これにより、メディア同士の切磋琢磨が今後も続けられ、報道の自由が制度的にも担保されたといえる。

憲法修正第1条で、プレスの自由を高らかにうたう米国の裁判所らしい決定ではないでしょうか。

ひるがって、我が国は、新聞とメディアがべったりで、いわゆる全国紙が政権を批判することもできなくなっている…。解散騒動を巡って、小泉支持を促すようなビデオ画像が何度も繰り返し流されていた…。郵政民営化のプラス面とマイナス面をきちんと分析した報道をするべきであったのに、いかにも、小泉が信念の人っていう描き方…。

せめて、小泉が公約違反なんてたいしたことないって言っていた画像を使わうことすらしないのはなぜ!

テレビ局の出自…UHF局の場合

2005-05-07 08:08:08 | クロスオーナーシップ問題
UHF免許について、当初、各放送地区内では、複数の出願者がいたが、郵政大臣が複数の出願者がいる地域には、免許を交付しないという政策を立てて、すべての地域で出願者を一本化することをすすめ、一本化できたところのみ免許を交付したという(奥平康弘「表現の自由Ⅱ」)。

奥平教授は、これはもはや行政指導とはいえない、このような状況の中で交付された免許は、政治的な利権にほかならない、U局はその誕生の過程においてすでに「自由な存在」たりえない性質を付加されてしまっている、と批判する。

知らなかった…。
そういえば、憲法改正国民投票法案でも、放送に対する規制は弱い…。ってことは、放送は、すでに、政府がコントロールできるて考えているってことかなぁ。怒れ!放送記者

メディア裏支配

2005-03-22 02:56:02 | クロスオーナーシップ問題
テレビと新聞の系列化についてはちらほら書かれているが、最近では、田中良紹著「メディア裏支配」に詳しい。系列化を知らなかった人は、ぜひ一読を。
しかし、田中角栄って39才で、そういうシステムを作り上げたのだから、怖いというか凄い…。このシステムを解体するのも若い人かなぁ。

新聞とテレビ局の系列問題

2005-03-12 11:21:22 | クロスオーナーシップ問題
今回のライブドアの件で、テレビ局の存在意義、公共性がテーマになった。確かにマスメディア、特に巨大メディアであるテレビのキー局や全国紙には「権力の暴走を監視する役割」「進路を選択するために必要な情報を提供する役割」があるから、公共性の観点から一定程度の規制がかけられても仕方がない。規制の枠内で利益を目指すべきであり、枠をはずして完全な自由にすると、上記役割を果たせなくなるおそれがある。そういう意味でもっとも必要な規制は、新聞とテレビの系列関係(クロスオーナーシップ)を断ち切ることだ。

テレビは電波行政で縛られるからどうしても政府には弱い。新聞はその弱いテレビ局で儲けているから、政府に弱みを握られているようなものだ。新聞とテレビが系列化した背景には、新聞の利潤への意欲(最初は、新聞を売るためにテレビを利用し、後にはテレビの儲けが大きく手放しがたいものとなった)があったが、その過程で、一定の規制を設けておくべきであった。実際には、政治家も系列下するほうが、新聞へのコントロールが効くから、系列下を促進させた。今から何ができるのだろうか。