tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

焼き物の町・笠間と益子の旅 1日目

2015-10-31 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
どういう話の流れだったかな。
記憶をたぐり寄せてみると、そろそろ鍋がいい季節だね、鍋といえば土鍋が欲しいね。
土鍋もいいけど、焼き物の町で自分のお気に入りの器を見つけるなんて面白そうだね。
…そんな感じだったと思う。

この土日、入りそうだった仕事がなくなってきちんと休みが取れ、だったら、と、
関東屈指の焼き物の町、茨城県・笠間と栃木県・益子をめぐる1泊旅を、急遽企画。
ビジネスホテルじゃ味気ないし、寒くなってきたから温泉がいいなと思うが、
このエリアには手ごろな温泉がない。
益子に1軒あったが、2日前のタイミングではすでに満室。
「海も行程に入っていると旅らしい実感が深まりそうだな」と思い、
両町のルート上からは40km弱くらい外れるけれど、太平洋岸の大洗に泊まることにした。
ただ、大洗も温泉のあるホテルはすでに満室。
温泉じゃないけど「太平洋を展望する大浴場」ということで我慢。
そうして宿を確定させてからあらためて笠間と益子のことをネットで調べてみると、
両町とも今まさに「陶器市」の期間中であることがわかった。
なんといいタイミング!
両町で同時期に実施しているのは、僕のように、
「笠間と益子、両方一緒に訪ねよう」と考える人が多いからかな。

9時半頃車で家を出て、常磐道で笠間へ。「笠間工芸の丘」にお昼前に到着。天気予報は晴れだったのに、厚い雲、雨がちらつく。意外と寒い。広場に陶器販売のテントが出ている。それらを半分見た後、「今晩はホテルの夕食でボリュームが多そうだから、昼食は早めにとる方がいい」と、テントめぐりを中断し、「クラフトカフェ」でけんちんうどんを食べる。「けんちんうどん」、最近出先でよく出会うメニューだ。具の野菜が多く入っていて、温まって、嬉しい。

食後、残り半分のテントをめぐる。
いくつか自分の琴線に触れる品があったが、
「笠間の町も歩いてみよう」と、いったん「工芸の丘」を出る。丘の坂道を下る。
右手の山の崖に城のような建物があった。
「趣味の悪いホテルかな?成金趣味の屋敷かな?」と悪口を言い合う。
(今ネット検索して知ったが、東日本大震災で被災して閉館したホテルのようだ。
崩れて室内が見えて、廃墟のように荒れていた。ネットには「心霊スポット」とも)。 
そばにデザイナー建築家が手がけたと思われる洒落た家があったが、
その家の背景の崖にこの「城」の土台の大きな構造物が見苦しく立っており、
なんとも気の毒な感じがした。

「工芸の丘」から20分ほど歩いたろうか、笠間稲荷へ。参道入口には木製のお稲荷さんの祠を売る店があって、「こういう専門店ってあるのか」と驚く。「我が家にも待望のお稲荷さんができました」といった感じのスマイルでおさまる、購入者ファミリーの写真も貼られていた。「自宅に神棚」というのは聞くけど、「マイお稲荷さん」を作る人もいるんだね。

笠間稲荷では「菊まつり」が開催されていた。「日本で最も古い菊の祭典で、今年で第108回」だそうだ。開始は明治41年。「××小学校6年2組」の札のある菊の出展もあるところ、こうして菊を育てるのは「町のDNA」として息づいているんだろうか。

稲荷を出て、笠間の町を歩く。
帰宅の自転車の中学生が、みな制服の上に蛍光イエローの太いタスキをかけている。
もちろん白いヘルメットもかぶっている。
校則で決められているのだろう、荷物は前カゴに入れるのではなく、
後ろの荷台に紐でぐるぐる縛りつけてある。
いかにも北関東らしい、絶妙な「ダサさ」がある。
もっとも、埼玉で中学時代を過ごした僕も、
デカデカとした名札の布切れを縫い付けられたジャージを着て通学していた。
イタさは変わらない。
前を歩いていたアジア系女子に、
「駅はどっちですか?」と少し崩れた日本語で尋ねられた。
「陶芸女子」だろうか、「パワースポット女子」だろうか、一人旅の女子。

地図には「焼き物通り」と記されている道に出るが、ただの国道で、
歩道のない箇所も続き、横をダンプがゴーッと往来して閉口する。
いくつか陶器の店に入るが、特に客で賑わっているでもなく、
寒い外から引き戸を開け閉めしてしんとした店に入るところ、
なんだか冬の寂寥感をおぼえる。
道すがら入った店には、先ほど「工芸の森」のテントで見つけたような、
琴線に触れる品物はなかった。
開いていない店もあったが、もしかすると今日は「工芸の森」に出店するから、
お店本体は休んでいるのかも知れなかった。

「工芸の森」に戻ると、20分後くらいに集合時間を設定し、同行者と別れる。
それぞれ、目星をつけていたテントを再訪し、自分の気に入った物を買おう、と。
僕は「長峰陶房」でマグカップを購入。
買うなら日常的に使うマグカップか湯飲みにしようと決めていた。
別の店の湯飲みと迷ったけど、しばらく手に持ったり戻したりを繰り返し、
そっちのテントとこっちのテントを行きつ戻りつして迷ってから、
それに決めた。
たった一つだけど、実際に「自分の物」が決まると、嬉しい。
日も暮れてきた。車で大洗を目指す。5時過ぎ、宿に着く。

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