tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

今朝の新聞の酷い投書「どう考えたら 新幹線の三景」

2012-12-27 23:11:46 | 物申す
「どう考えたら 新幹線の三景」(静岡県 63歳男性)
暮れの新幹線。相当の混雑なので指定車両に移ってみた。ここも満席だったが、ふと見ると、座席に小さなバスケットが置いてあり中に小犬。隣に若い女性が座っていた。早速「ここ空いてますか」と尋ねてみた。すると、その女性は、「指定席券を買ってあります」と答えた。私は虚を突かれた思いがした。改めて車内を見渡すと、多くの立っている大人の中、母親の隣で3歳ぐらいの男の子が座っている座席もある。あれも指定切符を買ってあるのだろう。仕方なくいっぱいの自由席に戻ると、ここにも学童前と思われる子が親の隣に座っていた。懲りもせずにまた「ここ空いてますか」と尋ねると、母親は仕方なさそうに子どもをひざの上に乗せ、席を空けた。私はその座席で居心地の悪さを感じながら、この新幹線の中での三景をどう考えたらいいのか自問した。 (朝日新聞)


新聞の投書欄にはたまに酷い記事があるもので、失笑を禁じえないことがある。
僕は新聞記者の良識を基本的には信頼しているほうだが、
この類の投稿を採用するような「投書欄の編集職」というのは、何やら閑職的な地位で、
ちょっとズレた見識の持ち主が吹き溜まっている場なんだろうか?
などと思ってしまったりする。

この投書氏の言う「三景」。僕にはこう見える。

「小犬のために指定席を確保」
小犬を連れて新幹線で移動しなくてはならない事情があるのだろう。
だが、車内には犬を苦手とする人だってきっといる。
ならば、犬連れの自分の隣席に別の客が来て迷惑を及ぼしてしまう可能性を残すよりも、
きちんと犬のために座席を1つ確保する。
それは、飼い主としてのマナーを心得た行為ではないか。

「学童前の子のために指定席を確保」
犬の場合と同様だ。
無理に自分の膝の上に子どもを載せてぐずられたりしたら、隣席に人がいた場合に迷惑になる。
ならば、子どもにもきちんと座席を確保したほうがいい。
あるいはもっと単純に、自分たちの移動の快適性を重視しただけかも知れない。
だが、そこに責められる点は何もない。

「自由席で学童前の子に1席を与える」
「無料で乗っている子は席を有する権利がないはずだ」投書氏はそう言いたいのだろう。
それはルールから見れば正論かも知れない。だが、正論は何でも振りかざせばいいというものでもない。
「無料の子は座席を使うな」と押し通したいのなら、
一方で、「後から乗ってきた人間が、小さい子とはいえ人一人をどかそうとしてまで座る権利を主張するな」
という言い分も出てくる。
母親はしぶしぶであれ、ともかく席を空けたのだ。あなたの主張は通ったのだ。
その上さらに「居心地の良さ」を望むのか?
それはあなた自身の権利ばかり主張しているのではないのか?

しかし、この投書が僕を苛立たせるのは、投書氏のそうした「ズレ」ばかりではない。彼の筆致である。

「虚を突かれた思いがした」
「どう考えたらいいのか自問した」

つまり彼は、その出来事に対する「自分の考え」を何も表明してはいないのだ。しかし、

「仕方なく」
「懲りもせず」
「居心地の悪さ」

といった言葉の端々から、不満を表明することは忘れない。

要するに、「もってまわった」言い方で巧みに論点の核心から逃げながら、
自分の立場の正当性を「主張せずして主張」しようとしているわけだ。
いかにも老獪で、卑怯なやり口と思える。

そして、彼自身は「冷静に言葉を紡いだ」つもりでも、
この一件を投書欄へ投稿せずにはいられなかったという事実が、彼の不満の大きさを如実に物語っている。
その「抑え切れない激情」に(その重ねてきた年齢ゆえになおさら)、醜さを感じずにはいられない。

彼に言いたいのはこういうことだ。

・暮れの新幹線が混むのは当たり前。座席を確保したいのなら事前に準備すべき。
 準備がなしえなかったのなら、きっぱりと諦めるべき。
 「混む新幹線に不幸にも乗り合わせた」ことは、あなただけが「座席を譲られてもいいはず」と
 甘えてもよいという理由にはならない。

・たかだか63歳の壮健な(少なくとも空席を求めて車内を歩き回る体力はあるわけだ)男性が、
 席に座ることに固執して右往左往あがくな。
 せいぜい1時間2時間立つことがナンボの問題だというのだ?
 いや「ナンボ」の価値ある問題だ、と言いたいのなら、
 「ナンボ」かの金額を出して指定席でもグリーン席でも取りなさい。
 「ナンボ」かの時間をかけて、1本2本列車を見送るくらいのことはしなさい。
 人が歴然と座っている席に「空いてますか?」などと尋ねるカマトトを演じるのではなく、
 「ナンボ」かの丁寧な誠意を見せて、素直に「座らせていただけませんか?」と頭を下げなさい。 

・そうしてあがく惨めな自分を、カッコつけた文章で正当化しようとするんじゃないよ。

それともこの投書、こういった反論の「呼び水」として敢えて掲載されたんだろうか?
…いや、こんなこと、議論を深める価値もないよ。

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