先の裁判員制度と聴覚障害者・手話通訳者の講演の中で渡辺先生は「曖昧な言葉はあいまいなままで」通訳するのがきちんと情報を伝えることだ と 話されていました。
私たち自身の通訳の在り方を考えるときに このような 視点を きちんと持って通訳できているかどうか は とても 大きな疑問です。
あいまいなままで表現したら、「下手な通訳! わからんじゃないか」と
思われるのではないかと なんとかきちんと伝えようと 変換してしまっていたのでは。
これは 通訳者自身が 通訳ではなく 自分の利益を(よく思われたい)考えてしまっているのですね。
また、ろう者にも そこら辺を説明し、わかっていただく必要もあるでしょうか。
曖昧な言葉は曖昧なままで、ですが、これをやるとだいたいろう者は意味がつかめません。そして悪いことに、通訳が下手なせいだと思ってしまいます。本当は通訳の問題ではなくて、話し手があいまいな言葉を使っているんですけれどね。
かといって、対市交渉で「前向きに検討します」「配慮します」といわれて、「前向きに検討してくれるんだ」「配慮してくれるんだ」と、要望項目が一歩前進と思いきや何もしてくれなかったこともあります。聞こえる人の使う言葉のニュアンスをおさえるのは、あるていど経験がなかったら難しいですね。かといって逆に通訳する訳にいきませんね。もっともこちらでは何年もそういう経験を重ねてしまって、「前向きに検討というがあれは嘘」と見破るろう者も多いです。
手話通訳のことは、本当に奥深いです。どういう方法が一番いいのか、学習を重ねられ、その場で判断をしている手話通訳の方々には、本当に頭が下がります。