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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

中村哲郎 「勘三郎の死」

2021-02-08 09:36:26 | 日記
中村哲郎さんの「勘三郎の死」です。
中村哲郎さんという方、若き日、創立時の国立劇場に勤務し
学生時代からの観劇歴は65年に及ぶという方です。
勘三郎さんとは、そのお父さん 十七代目中村勘三郎さんからのお付き合い。
還暦前にお亡くなりになってしまった十八代目勘三郎さんとの交遊について書かれた本です。
表紙には、勘三郎さんの絵が描かれていて、
書店でも、よく目立つ装丁になっています。

第一章は、そのものズバリ「十八代目勘三郎」というタイトル。
勘三郎の死 まぼろしの還暦の「助六」 みずらの髪の似合う人 一期一会に非ず
ナミノは二人 汝は旅人
と六篇の勘三郎さんにまつわるお話が書かれています。
病魔に倒れなければ演じるつもりだった「助六」
一期一会という言葉が嫌いだった勘三郎さん
勘三郎さんから貰った最後の電話
などなど、興味深いお話ばかりですが

特に印象に残ったのは
「ナミノは二人」というお話。
これは勘三郎さんと吉右衛門さん 二人のナミノさんにまつわるお話。
若い頃、「播磨屋のお兄ちゃんが、一番うまいんだ」
と言っていた勘三郎さん。
それが、歌舞伎に対する考え方の違いから距離を置くようになる。
その後、晩年の勘三郎さんは、息子の現•勘九郎さんに
吉右衛門さんに教えを乞うように言う。
こうした心境の変化について触れたお話。
読み応えがありました。