みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

「論語と算盤」

2018年11月24日 | 俳句日記


11月24日〔土〕快晴 (小春日和)



大気の冷たさと日差しの暖かさとが、雲ひとつない青空のもとで調和した快適な一日であった。
「秋の深まりも一段と‥‥」なんて書きたくなる
ような景色だが、冬至まであと一ヶ月である。

師走の足音がすぐ背後に聞こえてくる。
カルロス・ゴーン氏とケリー氏にとっては、最悪の年末年始になりそうだ。
日産の下請け各社も戦々兢々だろう。

何事も、天地宇宙の摂理が調和した環境に身を置いていれば、恐れる事もなく、慌てる事もなく、
平穏な日々を過ごせるのだが神ならぬ人間の性。
しかし、神の如く超然と生き抜いた人が居た。

渋沢栄一翁である。
私如きが、ここで翁の生涯を論評する気はない。
また、その資格も無い。ただ翁を知って欲しい。この本を若い人達に読んで欲しいのである。

特に人類の歴史に挑戦をしようと思う若者は是非
とも読んでおくといい。
人と社会との調和の何たるかを学べるからだ。
と、言う事で中身をダイジェストします。

構成は人としての10の課題と91の訓話から成る。
以下、課題と訓話の見出しの抜粋を羅列する。

1.処世と信条→論語と算盤は甚だ遠く、他11話。

2.立志と学問→大立志と小立志の調和、他9話。

3.常識と習慣→常識とは如何なるもの、他9話。

4.仁義と富貴→金力悪用の実例、他8話。

5.理想と迷信→これは果たして絶望か、他10話。

6.人格と修養→修養は理論では無い、他10話。

7.算盤と権利→競争の善意と悪意、他4話。

8.実業と士道→模倣時代に別れよ、他8話。

9.教育と情誼→偉人と母、教育の得失、他5話。

10.成敗と運命→失敗らしき成功、他6話。

以上である。

訓話をチョイスしながら、またこう並べてみて、
翁は根っからの教育者であった事を思った。
課題の概念の選定、訓話の見出しの付け方、どれを取っても情意を尽くして居られる。

これを読めば、最早仏典も、聖書も、論語も読む
必要は無いと断言出来る。
全てのエッセンスは実学として此処にある。
文科大臣に訴えたい、現代仮名遣いに直して中学生の公民の教科書に取り上げるべきだと。

その前に、これを理解する教師を育成することが
必要かも知れないが⁈

〈書を読みて 小春日和の 天仰ぎ〉放浪子
季語・小春日和(冬)