みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

春の旅立ち

2017年03月20日 | 俳句日記

 まいど毎度のおはこびでいたみ入りやす。

 

 能因法師は霞みと共に都をお立ちになり、

陸奥に下られましたが、霞み立つみちのくを

きょう立ちまして、東京、京都を経由しながら

ぶらり九州までの旅が、今回の私の旅でして、

約十日をかの地で過ごさせていただきます。

 

 そこで、誠に勝手なお願いなんですがね、

この間はブログをお休みさせて頂きたいと

存じまして、お許しを乞う次第です。

 どなた様も、何卒よろしくご理解の程伏して

お願い申し上げます。

 

 そのかわりと言っちゃなんですがね、無事

帰えってまいりやした時には、土産話なんぞ

たんと用意いたしやしてね、芭蕉翁よろしく

「西国紀聞旅日記」みてぇなものにして報告

させて頂きやしたらと思っておりやす。

 

 こういっちゃなんですがね、博多ってぇ言う

処はいいとこでございましてね、山を背にして

博多湾をかかえこみ、太宰府まで平地が深く、

それでいて適度に都会で空港も近いときてる。

 

 なんちゅうても喰いもんが旨かとですたい。

はかたラーメンとか、もつ鍋は知っとらっしゃる

じゃろうばってん、うどんも弘法大師が唐から

持って来んしゃったとは、博多が最初バイ。

 

 大師が讃岐のお人やけん讃岐うどんも有名

ばってん、こっちが先やけんね。誤解せんとき!

 それにくさ、玄界灘がすぐそこやけん、魚が

旨かとたい。食べたらすぐ分かるっちゃ。

 

 あ~早よ行きたか~。

 みんなが待っとるけんね。

 ありゃもう出る時間たい。

 そしたらくさ、もう出るけん。

 元気にしとかないかんよ。

 はかたメンタイば買うてくるけんね。

 

 こうして、メンデルスゾーンの「春の歌」に

見送られるかのように、まるでお足が地に

着かぬ様子で、ふわふわと風に吹かれて

春の旅に出かける私なのでした。

 

< 福博の 匂求めて 春の旅 > 放浪子

 

三月二十日(月) 晴れ

         暫し別れの朝の宴

         アイらにパンを求めて与う

         喰いだめ出来たかな

         午後より出立

         お気楽な一人旅


春彼岸

2017年03月19日 | 俳句日記

 大勢のおはこびでお有難うございます。

 

 むかしから暑さ寒さも彼岸までと申します。

二十四節気の中で、春彼岸の時分ほど劇的に

世の中が変わる時はございませんで、とりわけ

自然の景色は回り舞台のようですな。

 

 お手紙の時候の挨拶に「百花繚乱の春」とか

「万物躍動の春」とか書けますのもこれからで、

まさに森羅万象すべてに目に見えて命が横溢

し始めるんですね。

 

 と申しますのも、天文学の方ではなんでも

天球の赤道を、お天道様が「どっこいしょ」と

北半球のほうへお戻りになるのが春分の日

なんだそうで、明日のことでございます。

 

 こちらにお戻りになりますと、どうしたこと

になるのかと申しますと、日に日にお日様は

こちらにお近づきなるのですから、お日様の

エネルギーの波動は凝縮されて強くなる。

 

 これを「ドップラー効果」てんだそうですな。

救急車の音が近づくと甲高くなり、離れると

低くなりますね、あれと同じでどんどん波長

が短くなり、エネルギーが強くなる。

 

 そこんとこを草も木も、鳥も獣も、カエルさえ

知ってましてね、それ今だ!ってんで動き出す。

人もなぜだかワクワクし始めますね。

それを蠢動てな言い方をしています。

 

 かといってヘンなものが蠢動するのは

ご勘弁願いたいものですな。テロとかね。

 殿方もヘンなものにはどうぞお蓋を。

景気が上向きに動くのは歓迎ですがね。

 

 ちなみに古語で「景気」てのは、もともと

景色とか景観をさしていたそうでしてね、

「景物」てぇのは、四季折々の全ての「趣」

なんだそうです、衣装も食べ物もね。

 で、まあ、いよいよの春なんですよ。

 

< 景物も 色めき立ちて 春彼岸 > 

             放浪子

 

三月十九日(日) 小雨のち晴れ 風強

         「こころの時代」を観よと

         仏様に起こされし午前五時。  

         軒しずくだったかも知れない。

         旅立ちの準備にかかる。

 

 

 


春のやさしさ

2017年03月18日 | 俳句日記

 まいど沢山のおはこびで有難うございます。

 

 寒さ凌ぎに伸ばしていた髪が、貧乏儒者の

それのように襟を隠すまでになりましてな。

 このなりじゃぁ旅先でひと様に失礼だと

思いやして、彼岸でもあるこってす、さっぱり

しょうかと贔屓の髪屋へ行きやした。

 

 いえ、時代を気取った訳じゃぁねぇんです。

屋号が「髪屋」さんなんでさぁ。

 いっけん間口の格子戸を半けん右に開くと

上り框(かまち)がありましてね。

 履物を脱いでもう一つ障子を開くと、中の

間の鏡の前の席に着くってな寸法で、ふた

席しか無いアットホームな床屋なんです。

 

 もうかれこれ四年の通いになりますかね。

私とさして違わねぇお歳の母上と、御新造

さんが切り盛りなさってらしてね、気の置け

ねぇ話なんぞしながら髪をあたるなんざぁ、

落語の「髪結い床」の心持そのものなんでさぁ。

 

 さっぱりしたところでおいとましやして、

彼岸準備ってんで買い物を済ませて帰る道

すがら、路地から見える立派な松の小脇に

枝垂れた紅梅が幾輪か目に留ったんですな。

 

 今年も紅梅が咲き始めたなぁ~、なんて

悦に入ってましたらね、川端康成先生の

「古都」の書き出しの一節を思い出しました。

 

     もみじの古木の幹に、

     すみれの花がひらいたのを、

     千重子は見つけた。

     『ああ、今年も咲いた』と、

     千重子は春のやさしさに

     出会った。    川端康成「古都」

 

 さすがに文豪ですな。千重子さんの言葉

の後に「春のやさしさに出会った」とつづって、

やさしい春と千重子のやさしさを二つながら

表現なさっている。

 

 この表現は「コロンブスの玉子」ですよ。

解説された後は、誰でも使えますがね、

凡人には出てこない発想ですな。

 それに「出会った」にもこの物語の伏線が

仕込んであるんです。<はぁ~脱帽!>

 

 てなわけで、そいつを思い出しちまった。

もとより、そんな感性なんぞ持ち合わせちゃ

いやしませんけどね、別の風情というか

艶っぽさを件の梅に見ちまったんです。

 

 てぇのは、松の傍わらのこの枝垂れ梅が、

人の肩あたりの高さで、松の方へ腰をくね

らせるように曲がっていやしてね、それが

腰高のベッピンさんが拗ねてみせてる様な

粋な景色なんですな。

 

 あ~春だなぁ、と思っているところに

JKが「スミマセ~ン」と黄色い声で私の

傍らをチャリで通り過ぎていきました。

 春のお日様が微笑みながら見てましたね。

 

< 松影に 粋に寄り添う 枝垂れ梅 >

                放浪子

 

三月十八日(土) 晴れ 時々薄日

         出張準備に髪を切る。

         ベニマルで造花の仏花、

         蓮の落雁、油揚げを求める。

         帰りしなの見越しの松と

         紅梅に見とれた。

         JKにも見とれた。

         春よ春。

      


駅広の午後

2017年03月17日 | 俳句日記

 日溜りのある駅前広場てぇのはロマン派の

パステル絵みてぇに頬杖ついて眺めたくなる

ような色気ってえのがありますな。

 

 ルノアール先生がいらしたら、ドトールの

二階の窓越しに絵筆を取っていらしたかも

知れねぇなんて想像しながらアメリカンを

すすってやしたがね、

 

 きょうの午後一時の駅広の光景に、はたと

気付いたことが在りやしてね、それは、人の

背丈と影の寸法が同じだということでさぁ。

 

 彼岸の入りでやすから、だいたい昼の長さ

と夜の長さが一緒でがしょ。

 北緯37度の郡山では、なるほどこの時期

生身と影の関係はこうなのかって思いやした。

 

 と言うことは、冬至はこの時間、影は長くなり

反対に夏至は短くなるってぇのは道理で、

春と秋の彼岸に、双方の寸法が同じになって

ご先祖様を供養するてえのは御縁ですかね!?

 

 てなことを考えながら広場を見てやしたら、

人の行き来が直角二等辺三角形の行ったり

来りに見えてきやして、たはっ!オモチロイ。

なんて思っちまったんですよ。

 

 つまりね、生身と影が等身大てのは秩序が

あっていいもんです。

 見ている方もなぜか直角二等辺三角形は

安心できるってぇもんですよ。

 

 とするとね、永田町ってぇところは天道様が

どっか遠くにあって、影ばかり見ながら政治を

なさっておいでだから、自分の影の尺寸も分か

らなくなっておいでなんじゃないでしょうかね?

 

 仕舞には、自分の影にさえ怯えていなさる。

怯えるから嘘をつく。はたで見ている方は、

安心も安全もどっかにぶっ飛でしまいますぜ。

 内憂外患てなぁ、今にちのこってすかね!?

 

< 山の井の 安積の駅や 春の午後 > 

                放浪子

 

三月十七日(金) 晴れ時々曇り

         昨日の後始末に奔走

         同時に出張準備

         ドトールにて暫し休憩

         ここは幸せ空間

         ヨシッ!と立ち上がれる

         

 


のどかな事件

2017年03月16日 | 俳句日記

 毎度のおはこび誠に有り難く存知ます。

雨から雪の二日間、川へも行けず気を

病んでいましてな、

 今朝の空が青々としてましたのが嬉しい

のなんのって、

 てめぇの朝飯はうっちゃいといて

鳥の餌だけ持って川へ急ぎましたね。

 

 長閑でやんしたね~。

初音以来、行けば聴こえるウグイスと

さえずり止まぬヒバリの声に、

ころあい計り風に乗り、くるりと輪を描く

トンビの声が、ピロロと啼いて調子を

合わせ、ケケンと雉子が音頭とる、

げに賑やかな春の川、

こいつァ~春から縁起がい~わい!?

 

 と、悦に入って戻ってきやしてね、

ウキウキしてやがるもんだから掃除するのも

はかどりやして、こんどは鼻歌まじりに

買い物に出かけやんした。

 

 好事魔多したぁこのことでございますかな。

買い物済ませてセルフレジに並び、いざ、

カードで支払いをと、当ててみたら残高不足、

いけねぇてんでチャージして事なきをえたん

ですがね、ひとまず。

 

 さて、そこからがてえへんなんです。

事もあろうに財布を置きっぱなしにして

荷物を置きにその場を離れちまった。

というより、財布をしまい忘れたんですな。

 

 戻ってみたら財布がない。届け物は?と

サービスカウンターにいけども、それも無い。

こいつぁーと店員さんの勧めに従って交番に

かくかくしかじかと事情を話したんですな。

 

 そしたら現場確認をしましょうってんで、

待ち合わせ時間を示し合せ、私はそそくさと

部屋へ帰って着替えましてね、その立会いに

臨んだってなわけです。

 

 と申しますのも、買い物時の私の姿がね、

あまりにもお粗末で、このままじゃ被疑者

立会いの現場検証と誤解されたくはないと

思いましたんですよ。写真も撮りますからね。

 

 で、私の立会いの下に確認作業が始まった。

二時間掛りましたね、こんな単純な事案なのに。

 でもね、冗談を交えながらの作業の最中に、

私は思いましたね。

 

 若いお巡りさんでしたけれども、こっち

に気遣いながらも手順よく、丁寧にことを

進めて行かれる。店内の監視カメラも検分

して置き引き窃盗と確認されました。

 

 警察内部の教育の良さでしょうかね、

それとも、警察官を志したお方の良心

なんでしょうかね。いいものを見させて

下さった気がして爽やかになりましたね。

 

<草のいほ 長閑けき春の 椿事かな>

            放浪子

 

三月十六日(木) 晴れ やや風

      風は西、朝餉は長閑

      四種の鳥で賑う

      室内整理、のち買い物

      そこで事件

      されど心は長閑なり