寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3528話) 陽口

2023年07月22日 | 知識

 “「陽口」という言葉を知ったのは、義母が亡くなる数カ月前、たまたま開いたツイッターからでした。「陰口」の反対で、相手のいないところで、その人のことを褒めることを言います。そして数カ月後、その言葉の意味を実感することになりました。
 義母が亡くなった時、妹さんやお友だちが「いつもあなたに感謝しているって言ってたよ」「いい子だって褒めてたよ」「嫁をあんなに褒める人は珍しい」と、次々に言ってくださったのです。
 そういえば、デイサービスに行きたくなくて、朝から私と口嘩をして「行ってらっしゃい」と言っても、返事をしないで出かけたことがありました。そんな時も、職員さんには「嫁がいいから、家が一番いい」と言ってくれていたそうです。認知症が進んで、私は愚痴もこぼしていたのに、義母はずっと私のことを褒めてくれていたのですね。やっぱりお母さんにはかなわないなぁ。最後にまた、大切なことを教えてくれてありがとうね。三十七年間、楽しかったね。
 もう時間だね。えっ? 行きたくない? ダメだよ、お迎えの人が待ってくれてるよ! 「行ってらっしやい」 ”(6月29日付け中日新聞)

 名古屋市の主婦・前田さん(58)の投稿文です。面と向かって褒められるより、人からこう褒めていたよ、と伝えられた方が嬉しく思う。面と向かっては、悪口など言えない、お世辞かと思ってしまう。ボクなど人前で話すことも多く、本当は評価を聞きたいところであるが、聞かないことにしている。聞いたとて、悪く言うはずがない。褒められて嬉しがっていてはそれこそ愚の骨頂である。そして、本人がいない人同士だと何も褒めることはない、返って陰口の方が多い。それだけに真実味を覚える。この言葉はボクも知らなかった。陰口があれば、反対言葉もあるはずである。これが陽口であった。いいことを知った。
 陰口もいつか本人に入るはずである。人の口に蓋などできない。内緒事はいつまでも内緒事で済まない、それが世の常である。陽口はどんどん言うべきである。陰口は慎むべきである。人間往々逆が多いのである。


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