寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3693話) 物を大切に

2024年07月05日 | 知識
 “3年前に他界した同居の義母が終戦を迎えたのは20歳だった。戦争が終わっても物不足は解消されず、やりくりに四苦八苦したそうだ。そんな原体験からか、孫にあたる私の娘や息子のために古い布団を打ち直してベビー布団をこしらえたり、ベストの古い毛糸を解いてはチョッキに編み直したりしてくれた。息子の七五三祝いのとき、ビーチサンダルの鼻緒に白布を巻きヽ即席の雪駄に仕立てたのには驚いた。
 義母のことをいろいろ思い返すにつけ、日本もすっかり豊かになってモノがあふれる社会になったからこそ、簡単にどんなものでも使ったらすぐに捨てるのはやはり良くない。可能な限り長く使おうとする心がけを、義母は私たちに伝えたかったのかもしれない。”(6月14日付け中日新聞)


 名古屋市の主婦・鵜飼さん(61)の投稿文です。ものを大切にする、当たり前のことである。と言いながらも、それも我々世代までのことであろうか。鵜飼さんの義母の「ビーチサンダルの鼻緒に白布を巻きヽ即席の雪駄に仕立てた」には、ボクも全くビックリである。凄い知恵と思う。
 しかし、あるときから、工夫するより必要なものは買う、修繕するよりも買い換える。古いものを使うより新しいものの方が気分が良い、また性能も良い、合理的である。またそれで経済も潤う。でも本当にそうであろうか。ものは資源を使う。資源は無尽蔵ではない、有限である。最近は持続可能な社会、SDGsなどと言われ始めた。でも、人類は本当に真摯にこの問題に対応しているであろうか。ボクには怪しく思われる。経済優先から脱皮していない。経済優先とものを大切にするは結びつかない。真逆である。人間が住み続けられる地球が尽きるのはもう目の前である。資源の無駄使いの最たる戦争などしている場合ではない。地球の資源は無駄にしてはならない。