なんだか、みんなこのまま世界は終わっていってしまう、私は消えてなくなるとかいう予感がひしめいていた。
それはもうどうしようもないような雰囲気があって、みんな息苦しさと焦りみたいなものの中、必死にあがいているようだった。
そんな中、私は実家で悠長に長男の兄から剣道の立会いの稽古をつけてもらっている。
兄は型にはまってとてもスムーズにしかもきれいに身体を動かしていた。
持っているのは太めの木刀でかなりの重さがあるようで、私はそれを持って、しゃがんだところから、片足ずつ一歩出したりしまったりとする動作がどうもできないようであった。
しかも、なぜかふわっと浮遊できるからこそ、さらに難しさがあったようだ。
どうしても身体を動かすとふわっと浮いてしまうから、きびきびっとした動作ができづらい。
そんな悠長な我が家をおいて、とある若者たちがいた。
男もいれば女もいて、そんな若者たちはだめだというのに、世界を浮遊してよじ登ろうとしていた。
それはとても禁忌的なことで、いけないことだとわかってもいたのに、もう終わりが見えているものたちからしたら、その禁忌を犯すということもさほど問題ではないようだった。
それよりか、その前に全てを見てみたいような衝動にかられて、まさに、その世界の壁を浮遊しながらよじ登っていた。
壁はなんだか薄水色の洋風なインテリアな壁でそこにちょこちょこ浮き彫りされているところを把手にしながら、浮遊の力を目一杯に使ってよじ登る。
(どうやら、浮遊の力は、ドラゴボール並みの自由自在な力強さはないらしく、ある程度にふわっとできる程度なのだ。そんな力なところで、その世界の天上を目指すというのだから無謀というのか、できないし、世界では誰も試したことはない、というような状況である。)
そこで、登った先、天上には、金色にきらびやかな光を放ったとてつもなく大きな荘厳(しょうごん)が見えた。
それは、いわゆる、お寺の仏像、仏堂を飾っているところであって、ものすごく大きいことがわかる。
その金色の光に吸い込まれるようにして、向かい入ってしまった若者たちは、そこに見えるドアを開いていた。
チャリロリン
とかいう音で入ってみると、そこは普通のカフェのようで、
「なんだ、カフェかよ。」
「コーヒー頼も。」
「あ、わたしパフェにする。いちごパフェ!」
そんな若者たちはたちまち普通に店内に入るや座って各々注文しだす。
実際、世界ではもはやパフェなんて食べれるはずもないようなのに、ここで食べれるとは、と。
何を恐れていたのだろう、今までわたしたちは。
と、心の声が聞こえてくる。
そう、天上へは決してあがってはいけない場所だったはずなのだ。
それが今やもうずっと食べることもできないはずであったいちごパフェを頼めるとは、と、思っているころ。
そこのカフェは、多分仏像たちなのか、そこの天上にいるものたちが店員という形としているわけだが、彼らの形状は定かではない。
千と千尋的なふわっと薄い影のような幻影で実際いるのかいないのかわからないほどの存在であった。
その彼らは若者たちの注文を受けながらも、若者たちが、下から登ってきて、ここに入って平然としていることがもう信じられない状況なのだが、それを若者たちに知られることもなく、ただただ驚きおののいてる。
何が起きたのか、何でこんなことになっているのか、全くわからないというような彼らの心情がわたしの中には入ってきているのだ。
そんなところで目が覚めた。
なんなんだべ。ほんと。