ことばにならない風の声

今日もどこからか風はやってきてやがてまたどこかへいくだろう。
何に向かっているのか己でさえもわからずに、、。

向田邦子。

2019-07-12 21:27:52 | 日記



実は、向田邦子を知らない。

知らないのに、古本屋さんでちょっと100円やし、で、題名だけで選んだ本が向田邦子だった。

題名は、霊長類ヒト科動物図鑑とかいうもの。


そいで、毎晩寝る前にちらちらと読んでは眠りについてるのだが、ひとつひとつがいい具合の短さの、いわゆる、エッセイ集というものだ。




全然知らないのだけど、向田邦子さんのこと、、本の背表紙に生まれが1929年とあって、そうかぁ、やっぱし若干古い人やなぁと。

が、とは言っても、今の私と変わらない感覚の方が強いのは強いんだけど、時たま、あぁ、時代が古いんやなぁっていう雰囲気があって、これがなぜだか読ませている要因な気がしている。



だから、面白いというほど面白くもないけど、ぼつぼつ読むには良い具合で、それでも、一番印象的な話は父やら母やらとの家族の、つまりは、本人が小さいころのお話である。


そのひとつで、傘という題のものがある。


その時代、父を電車の駅まで見送るのに、誰か彼かが見送りに行かねばならず、いわゆる荷物持ちでもあるんだけど、長女の向田邦子が結構その役をやらされてたらしい。



あるとき、同じように父を見送るとき、家から駅のホームまで一切お互い話すことなく、ホームでは、何も言わず荷物を渡し、一応電車が出るまで見送らないといけないから、目の前の電車の中、すでに席に着いた父は新聞だったかなんだかを広げこちらを見るわけでもないのだが、まぁそれでも本人も何も言うこともなく、どうしたらよいかもわからず、そのまま出発と、いざなってもにこりと手を振るどころか顔を下にしたまま、うんともすんともしなかったそうで、その後父は帰ってきてから、母になんだ邦子のやつは女のくせに愛想がない、と言ってるのを聞いてたらしい。


そして、またあるとき、雨が降ってきてるから駅まで父を傘を持って迎えに行って欲しいと母に頼まれた向田邦子は、傘を持って駅まで向かうのだが、駅から人はどんどんと出てきてて、暗い道ではそのままじゃ父と行き違いになってしまうと思ったから、父の名前を言いながら小走りで人の間を駆けていたのだと。

すると、父と出くわし、父に人の名前を道で大声出して言うやつがあるか、と怒られたらしい。

別に大声ではなかったようだが。


が、帰り着いてからというものの、母が向田邦子に、あなたお父さんは邦子はなかなか機転の利いたやつだ、なんて褒めてらしたわよ、と。




この話が一番印象深い。

なぜだろう、とってもその感じが頭の中で描写されるのだ。

そして、お互いの気持ちをぺらぺら話す間柄でもない、けれども、家族であるその在り方が今とは違うなぁと、それがリアリティを持って、こんな感じだったのかなぁなんて想像できたのが楽しかったのだ。



と、最近その、向田邦子のせいで、、おかげで?こういう文調になっているということをお伝えしておきたかったということでもあるのだった。ふふふ。

エッセイ風?







冷蔵庫ピッピ事件。

2019-07-10 22:02:20 | 日記



ここに越して来て2年と半年ほど経つが、冷蔵庫から何から家財は全く買わずにここにあったものを使わせてもらっている。

冷蔵庫もそのひとつだ。


最新の機械というものはやたらと画面付きでピッピとボタンを押すはめになっていることが多い気がするが、この冷蔵庫もそうだ。

今じゃ最新はタッチパネルかもしれないが、これはさすがにタッチではなくボタンがいくつかついていて、それで冷蔵室の温度設定やら、冷凍室の温度設定、一気製氷やら、一気冷凍やらやら、なんやら機能がついているらしい、が、冷えさえしてたら不都合はないので、いじることもなかった。


が、それがどういうわけかあれよあれよと、なぜかやったらとそれがピッピピッピと、勝手に冷蔵室の温度を強にしては中にして弱にして、と、画面のそれが変わり変わりしながらも、またピッピピッピとあの機械音を発するのだった。

まるで幽霊が操作してるかのような!?


それが、まだはじめのうちは気になるね、ぐらいで1日に数回あるかないかだったのだが、それがだんだんと加速していって、鳴るとなればやったらめったら鳴り出しはじめたもんだから、とうとうこれ、壊れてるわと、納得をしたのだ。


鳴り出したら鳴り出して、鳴らないと鳴らないのだが、夜中でもピッピ言い出すこともあり、そりゃもちろん、今じゃインターネットで型番入れたらその取扱説明書を見ることだってできるし、その型番関連、冷蔵庫関連の、そういった故障ケースの検索もかけて、一通り試してみてた。


終いには、業者に問い合わせをしてみると、見に行かない限りなんとも、なようで、もちろん見るのも費用がかかるとのこと。



そんなピッピに困ってるところ、冷蔵庫が左右となりとくっついてるのは問題じゃないか?ということで、調べてみたら、冷蔵庫を置く位置として、背中は壁やらでもくっついてもいいけど横側はどれだけか離して置くべし、とある。

なもんだから、ともかく離してみるか、とやってみると、左の下の横あたりが結露している様子も見えた。



それからというものの、一切ピッピしない。


はれ?というくらいあっさりとピッピ事件は終わったのだ。

これ、ある意味すごいなと感心した。

エラー番号を出すわけでもない、まぁエラーであるという状況ではないからだろうけれども、けれども、冷蔵庫はなんとかして、自分のできる限りのことで何かしらを訴えてきていたのだ。

この場合だと、両隣近くて熱くて参ってるよ〜ってことか。

そいで、意思表示するには、その画面を使ってピッピという音を使って、なんとか知らせていたわけだ。

冷蔵庫の扉が開いてるぞの音はピーピーピーと長引く音だしね、また違うものなのだよ。


それを冷蔵室内の温度設定を変える音と画面でこちらに訴えてくるなんて、しかも、状況を変えてあげた途端鳴らなくなるなんて、壊れてなんかいないのだ、これは、すごいもんだなぁと、ちょいと不気味な気さえしたのだ。


機械だって生きてるというか、意思表示するんだ、ということなのである。


いやはやはや。




歯医者。

2019-07-04 13:56:51 | 日記


同じまな板の上の鯉ではないが。

美容院が好きじゃないとは言ったけど、それはなんかかんか美容師さんとのやりとりがあって、それを気にする感じが面倒ということなわけですが、歯医者に関しては、今まで地元で一回虫歯になったものを治療するのに、小学生のころから学校に検診に来ていた歯医者さんに通ったところ、あの子か〜と馴れ馴れしくいい具合に良い歯磨きの仕方やら何やら丁寧にしてくれて、こころよくしていたもんだから、案外そこの歯医者さんに対して信頼を置いていた。

のだが、そこ以外でとなると、街を見ると歯医者さんも多いことに驚く。


そんなんで、こちらで暮らしてて歯医者さんとは縁遠くおったわけだけども、とあるとき気づいたころには奥歯の最奥になんだか溝のようなものが出来始めてるなぁと思っていたところ、なんだか気になるなぁと舌で触ったりしていたところ、、。

ほとんど毎日3食後に歯磨きをしているけれども、その日は外で友人と会っていた、ので、朝磨いたっきりで磨きたいなぁなんて思い思い夜になって、無糖ではないジンジャーエールなんて飲んでいたら、あれよあれよと、その溝を中心に腫れて腫れて喋れないくらいになってしまった。痛くて。

のはもう1ヶ月以上前のことだが。


そんなんで、近くの歯医者さんをネットで調べて、ホームページを見ると親切そうな雰囲気だったし、何より一番近いもんだからそこに決めて出向いた。


そこの歯医者さんは受付のお姉さん方から中の歯科医師さん方々皆々お若く、40代の方が1人くらいはいるかな?ぐらいのほとんど30代やら20代に見える、そして、何より美しい。

みんななんだか美人なんだ。

ほーと思ってたら、そこの歯医者さん自身、医院長かな、その方がまたお若い、お若いってほんとに、30代前半かと思うくらいの、そして、男前ちっくな方。

ちっくというのは決してブサイクではなくちゃんともっとたてて言えば、美男子の類。

なるほど、この方が採用を決められるとするならこの女性方だろうと、やけに納得する。

ひとりご年配の男性は多分現医院長の父上なのではないかと推測までしている。


そんな歯医者さんに通いだして、ともかく、その腫れてきているものは親知らずというものらしい。

親知らずなんてまた知らずに生きてきたが、聞いたら友人方も知らずに抜いているではないか、そんなに定番事とは!

現代人の顎が狭くなったというか、骨格が細くなったことと、まだ昔の馴染みで出ようとしてくる最奥の歯が狭くなった顎には合わず、周りを押していたり、そのまま上に出てはこず横になって生えてたりして、その溝にゴミがたまりやすく歯茎が炎症を起こしたり、歯磨きで磨きにくいから虫歯になるということで、腫れて痛みまで出てくるのは、異物だと判断してる結果なので抜いて構わないのです、という判断をしてもらった。


まぁこと歯のいろいろについては細かく淡々と説明をなさる先生で、一切の馴れ馴れしさもなく、にこりともしないし、優しげな声かけなどもない、業務に徹する感じでなかなかのサバサバあっさり感が変に構えないで済んでやりやすいと感じている。


ともかく言いたいのは、今日下の親知らずを抜いてきたのだ。

かれこれ抜いた方が良いという判断を下してもらったにもかかわらず、結局先生側が抜きましょうとは言ってこなくって、私の判断に委ねられておって、先生がいざ抜きましょうと言ってくれたら観念してそうしようと思えるものを、ご自身の判断で、という感じで、こちらが親知らずを抜きたいのですがーと、改めて予約しないことには始まらなかった。

そうやって腫れがひいたものの、抜歯をお願いする電話をするまでうんだらうんだらしてて、周りに促され促され、やっとこさだった。


なんやいうて、自分の一部のものを取り除くわけやから、痛いに違いないと踏んで調べたら、親知らずの上の歯の抜歯はともかく下の歯は、半端でない、ような書き方のものが多く、経験者の方もそんなだったし、内心えらいびびっておった。

ちょうど読んだ漫画の作者が最後のあとがき部分で親知らずのことを書いてて、下の歯が先生も抜けなくて困ってまた後日に持ち越しになって、相当に痛く寝れない日を過ごした、なんてあったことだし。





麻酔の注射自体初めてで、あれが痛いのだろう?と。想像するだに歯茎に注射は痛いでしょう〜と。。

そんなんで、先日まずは上からということで、上の虫歯になってる親知らずを抜いた。


もう、えっ、、て感じ。

びっくらしたよほんとに。


まずは何言ってんだか聞き取れなくて何やられてんだと思ったが、麻酔の注射前に脱脂綿のものを歯茎に挟められた。

これは今何中?となってるところに時間を置いてまた先生が来られて、では麻酔注射をしますと、、え、と思ってる間にあれよあれよと針が刺さってきている。

が、え、こんなもん?と、、つまりは、脱脂綿ははじめに表面麻酔をしてたらしい。

それをしてくれた方は慣れてるもんだから、ぽいっと小さめな声で言われてなになにー?となってるままだったから、、あー表面麻酔ってのをするのかーとまず驚く。



そいで、いざ注射は、たしかに痛いが目一杯痛いわけじゃない、あーやられてるな、くらいの余裕ありありの痛さで、それを終えてまた時間を待ったあと、いざ抜くのかーとなると、


ちょっと変な音がします、と言われて、ほんとに変な音がした。


歯を抜くときの音なんだけど、コギュッていうような感じで強くまっすぐ下に引っ張られてぐるぐるぐると回してポキっと取れた感じ。

それ自体ものの数分だろう。

はい、それでおしまいって感じで、

え、てな具合で上の歯の抜歯は終わった。



その抜歯あとが痛むのだろうと麻酔がいつ切れるか切れるかと恐れてたあまり、麻酔の切れてる感覚がわからないまま次の日になっていた。

全く痛みという痛みがない、、え、という感じ。



そんなんで、消毒に行ったら、先生に下の歯は上の歯より4.5倍は骨が硬いですから、極力痛みがないようにはしますが、腫れたりはすると思います、と。

まあ下の歯は覚悟してください、みたいなことなのか、と。




いうことで、下の歯は上の歯の比べ物にならないんだろうと思い思い過ごし、ついに今日下の歯を抜いてきたのだ。


前の通り、表面麻酔をされて、麻酔の注射もこの間よりは痛く二度ほどしっかりとされて、そのままじっと待つこと何十分か。

歯医者内の有線の音楽がKPOPなのか、いや韓国語ではないけどJPOPなのかそんないい具合に若者系な雰囲気が漂っておる中、音楽も今時っぽいなぁなんて婆さんな気分になりながらぼーと窓の外を眺めていた。



そして、いざ抜歯。

下の歯は歯茎の中で横に寝ているから取るには、歯茎を割いて開いたあと、歯をハンマーで砕いて取るようなことを言っていたので、ハンマーの衝撃やらをいつだいつだと、、あんまり目開けてても目の前で先生と助手の方がなんだらかんだらやるのも見るに耐えないので目をつむるのだが、つむったらつむったでいろいろと気になって、今はこんな作業中かと考えながら、鼻で息をすることに集中していた。

んが、ハンマーの衝撃はないまま、またもやぐーーっと引っ張られる感覚とぐるぐるぐると、あ、歯とったな、と思ったら、そのあとは糸をぐいーぐいーとそれが唇の端やら何やらにあたりあたりしながらぐいーぐいーと糸があってそれが一番不快だったぐらいと、あとはずっと口を開けとくのがしんどくて、最後は口が震えてきたり、舌が暴れだす、舌の制御がなかなかうまいこといかないのだ、なんか気になると気になるところを舌で触りたくなる、それで器具を扱っていろいろやってるのに触れて舌を怪我しないかとヒヤヒヤしながらも舌は動く、私の歯医者での困りごと第1位なのだが、それが、先生方にはどう見えるのだろうなんて、考えながらおったら、ついには糸を切って終わった。


これもまた先生はあっさりと、取った歯を見せてきて、歯を削ることもなかったんで、と、つまりはすんなりだったんですかね?と思いながら、はいーと答えてたらもうでは、という具合で先生は席を立つ。


そんなんで、これまたあっさりと。

考えるに、上の歯も下の歯も、なんだかんだ思ってる想像以下の抜きやすめな歯だったろうことと、なんて言っても、治療が上手なんだろうと思われる。


なんだか処置の手早いこと、そして、歯のことに対して、歯医者として自信がおありなような責任を持ってるような方なので、信頼を置けるなぁと思えるのだった。


そんなんで、下の歯を抜いて、その麻酔の切れたあとが、本番だろうと思い、帰宅してからというもの待ち構えておったら、確かに徐々に痛みが出だしたから、痛み止めをともかく一粒飲んだ。


そんで、お昼ご飯を自分の分も作ってさてと、目の前にして、それまではやはり海に入り始めのはじめに片足をつけてみた、みたいな具合で恐る恐るだったけど、食べ始めたら食べてた。

とはいえ、痛いので一本ずつ束にして左の奥歯で噛むようにしながら50分ほどかけてもちゃもちゃと食べてた。






自分はなんて卑しいのだ、というのか、鈍臭いのだ、というのか、ある意味呆れたのと、気持ちだけはしっかり心配恐怖してたのに、と。

ほんとに、2.3日は食べれなくなるだろうし、作ることさえできなくなるだろうし、あーあ、今だけだと甘いものを食べてた私はなんだったんだろうか。

もうすでに、甘いものを食べたいのだが。。

ともかく、やれやれですだ。

親知らずでこんだけ書けるのも我ながら、阿呆なかんじだね。