チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

ニシンと思ったら?

2011年02月18日 | 日記
2月9日の地頭方市場調査時に、定置網で獲れたニシンらしき魚がありました。
今週サンプルが入ったので、図鑑で検索してみました。
ニシン目の分類形質は慣れないと判らないところも多いのですが、臀鰭と鰓に特徴があり、カタボシイワシと判明しました。鰓蓋を開けると突起があり、ニシンだとこの突起はありません(白く囲った中の鰓後辺縁部)。

この魚は南方系で、台湾のツミレの原料はこの魚のようです。
分布範囲は図鑑で鹿児島県以南、ネット上の釣獲情報では三重県南部までしかないようですが、もう少し分布範囲が広いのかもしれません。



「駿河湾で水温が上昇」続報-急潮発生に注意

2011年02月14日 | 日記
 先週の暖水波及の続報です。
 2月8日に昇温した駿河湾口東側の妻良の水温は、11日には一旦14℃台に戻ったものの、その後、徐々に昇温し、12日以降17℃になっています。これは、継続して暖水が波及していることを示しています。
 駿河湾奥の内浦の水温は13日になり14℃台から16℃になり、駿河湾に波及した暖水は湾奥まで達しました。今後、17℃まで水温は上がると思われます。
 駿河湾奥西部の由比の水温はまだ、14℃台ですが、今後16~17℃になると思われます。
 過去、駿河湾では、冬季、14℃の湾内に17.5℃の黒潮系暖水が波及し急潮が発生した事例があります。今回は14℃の湾内水に17℃の暖水が波及していますので、過去の急潮事例と近い状況になってきました。
 急潮の発生にご注意ください。

海の環境シンポジウム『海を知ろう』

2011年02月14日 | 日記
 東海大学海洋学部が主催する「海の環境シンポジウム『海を知ろう』」が2月26日(土)に静岡市清水産業・情報プラザで開催されます。下のようなプログラムになってます。

 「海の環境シンポジウム   海を知ろう」
日時 2011年2月26日(土)午前10時~午後4時
会場 静岡市清水産業・情報プラザ 1階ホール、3階会議室、3階研修室
       (所在地:静岡市清水区相生町6番17号)
参加費 無料
対象  どなたでも参加できます。(申込不要)
主催 東海大学海洋学部・教育GP運営委員会
  <プログラム>
● 第一部 (10:00-11:40) (3階研修室)
 大学における環境教育の現状と展望
1.主催者挨拶                   加藤 登(東海大学海洋学部)
2.東海大学海洋学部 「海洋環境士」 資格教育の現状 千賀 康弘(東海大学海洋学部)
3.三重大学 「三重大ブランドの環境人材養成プログラム」 朴 恵淑(三重大学人文学部)
4.東京海洋大学 「海洋観測士」 育成コース  神田 穣太(東京海洋大学海洋観測支援セ)
5.東海大学が目指す環境教育         内田 晴久(東海大学学長室大学評価室)
6.総合討論                 轡田 邦夫(東海大学海洋学部)
● 第二部 (13:00-15:20) 
 海の魅力  (1階ホール)
13:00 海を愛し、海を楽しむ                  林 正道(海洋楽者)
海と生きる静岡の将来展望と環境  (3階研修室)
13:50 国際物流拠点 「清水港」 の展開         篠原 正人(東海大学海洋学部)
14:20 駿河湾深海魚の魅力      長谷川 久志(焼津小川港所属漁船「長兼丸」船長)
14:50 豊かな駿河湾をいつまでも        東海大学海洋学部 学生ポスター紹介
                        佐藤 義夫(東海大学海洋学部)
<同時開催企画> (11:00-16:00) (1階ホール、3階ロビー)
   ・第3回海のフォトコンテスト(人気投票締切15:00、表彰式15:40~)
     一般応募写真から海の環境を考える
   ・魚ロボットが大集合!
     海辺のゴミで作った魚ロボットの展示と操縦実演  林 正道(海洋楽者)
   ・海洋学部学生による研究成果のポスター展示
     各学科・専攻から海の環境に関する発表を選出 (「最優秀ポスター賞」選考)
   ・海洋学部の三保海岸クリーン作戦
     海洋学部の環境サークルE.C.O.と久保田雅久研究室での環境保全活動の紹介
   ・駿河湾の自然をのぞいてみよう
     海洋学部水族応用生態研究会による水生生物の水槽展示
   ・ビー玉を使ったアクセサリー 「海の雫(しずく)」づくり体験

*** 海のシンポジウムに関するお問い合わせ先 ***
東海大学海洋学部
〒424-8610 静岡県静岡市清水区折戸3-20-1 tel 054-334-0411(代)

タカアシガニの再捕

2011年02月10日 | 日記
 2月2日、愛知水試から脚に標識を付けたタカアシガニ再捕の報告がありました。
 再捕されたカニは、平成21年5月22日に戸田沖で放流された88尾中の1尾で、1月31日に三重県尾鷲沖水深280m付近で愛知県蒲郡漁協所属の沖合底引網漁船により漁獲されました。甲幅18.8cm、体重3,248.7gの雌ガニで、放流当時よりも10%ほどサイズが大きくなっていました。放流後の経過日数は619日でタカアシガニの再捕記録としては長い部類に入ります。平成10年以降に駿河湾内で放流された1,638尾のうち、大きな移動の例では、大王崎付近で2例、熊野灘沖で3例の再捕事例がありますが、平成14年に629日という再捕事例があり、今回はそれに次ぐものでした。
 このように太平洋側を等深線に沿って西に移動するパターン、また、湾内に長く留まるパターンもあるなど、タカアシガニの生態についてはまだまだ謎が多く、興味深い生物です。


 H21,05,22 放流の様子


 H23,01,31 再捕されたカニ(黄色の標識が見えます)

駿河湾で水温が上昇

2011年02月09日 | 日記
 遠州灘沖を黒潮の小蛇行が東へ進んでいて、蛇行の峰が駿河湾沖~伊豆半島沖のかなり近いところにあります。黒潮からの暖水が駿河湾に波及してもおかしくない状況でしたが、そのシグナルをいち早く捉えることができる駿河湾口東側で2月8日の夕方から水温が急上昇しました。
 南伊豆町妻良の定置網に設置した水温計では、2月8日15時頃に水深1~5mで一端14.5℃以上となり、その後16時30分過ぎから水深22mまでの全層で水温が上昇し20時には15.5℃を超えました。水深1~10mでは2月9日3時には15.8℃となりました(図)。また波勝崎沖の観測ブイ(水深2m)でも2月9日1時には14.2℃でしたが4時には16℃まで上昇しました。
 今回の水温上昇は妻良で1.5℃、波勝崎沖で1.8℃と今のところ大きな変化ではありませんが、今後急潮が発生し、また漁模様にも変化がみられるかもしれませんので注意が必要です。