チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

マイワシは増えるのか

2010年12月28日 | 日記
 12月15~16日に開催された長期漁海況予報会議で、マイワシの漁況予測がまとめられました。
 マイワシは資源の変動が大きい魚種です。下の図は、静岡県の総漁獲量とマイワシ漁獲量の推移を示したものですが、マイワシが獲れたときには県内の漁獲量の半分近くを占めていたことがわかります。

 現在の太平洋岸に生息するマイワシの資源量は低位ですが、平成20~22年に生まれたマイワシは低水準ながら資源量が多いと見られており、特に平成22年生まれ群はかなり資源量が多い可能性が考えられています。平成23年1~6月に漁獲対象となる平成20~22年生まれ群が多いと見込まれるので平年を上回る来遊が期待されます。しかし、駿河湾では平成22年生まれ群の分布が少ないと見られるため、前年を下回ると見込まれます。
 12月中旬になり、伊東を根拠としているまき網や定置網でマイワシが水揚げされています。

平成23年1~6月のマイワシの漁況予測
(1)来 遊 量:(成魚・未成魚) 駿河湾では近年の中では高水準だが、前年を下回る。相模湾では前年を上回る。
(2)漁期・漁場:(成魚・未成魚) 駿河湾~相模湾のまき網、定置網により、全期間で散発的な漁場形成。
(3)魚  体 :(成魚・未成魚) 体長20cm以上の3歳魚(平成20年級群)と2歳魚(平成21年級群)と、体長13~18cmの1歳魚(平成22年級群)で構成。2歳魚が主体をなす。


冬の海になる

2010年12月27日 | 日記
12月22日から冬の季節風、西風が連続して吹いています。そして、土曜日(25日)から急に寒くなりました。
水温も急激に下がってきました。

伊豆半島先端の妻良では、22日以降水深22mまで一様に水温が下がり、5日間で5℃ほど下がりました。駿河湾の奥に位置する内浦では、水深5mより浅いところで水温が下がっています。これまで水温は高めで経過してきましたが、ようやく、冬の海になってきたようです。
24日の情報では地頭方港ではアイゴの姿は見えなくなったようですが、沖の定置網では手のひらサイズが見えるそうです。

タチウオのお腹の中に入っていたものは?

2010年12月13日 | 日記
 前回、12月8~9日に駿河丸が蒲原沖で実施したタチウオ釣獲調査について報告をしました。その時に採集した2歳魚を中心としたタチウオを研究所に持ち帰って胃内容物を調べたところ、最初の一尾目の胃から小さなタチウオの上半身が出てきました。他のサンプルからもタチウオと思われる魚体が見つかり、結局、胃内容物を調査した12尾のうち3尾が小型のタチウオを食べていました。
 胃から見つかったタチウオの体高は指1本程度で全長は推定で50cm程度の当歳魚と思われます。今回の調査でも同サイズのタチウオが1尾採集されており、また調査海域に近い西倉沢の定置網でも、調査同日に当歳魚のタチウオが数多く入ったそうです。これらから、調査海域の蒲原沖では、親の2歳魚とその子にあたる当歳魚が混在していたと思われます。
 これまでの調査結果から、タチウオは目の前にある餌となりうる生物を手当たり次第に捕食していると考えていたのですが、今回の結果はそれを裏付けているようです。たとえ子供であろうと食べてしまうタチウオは、鋭い牙の見かけどおり獰猛な魚のようです。



駿河丸サクラエビ・タチウオ調査

2010年12月09日 | 日記
 12月8~9日に駿河丸はサクラエビとタチウオの調査を実施しました。サクラエビの調査は、魚群探知機を見てサクラエビと思われる反応があったら、IKMTと呼ばれるネットを船で引いて採集をします。この日は石花海(せのうみ)と富士川沖で探索しましたが、サクラエビの群れが見つかりませんでした。
 タチウオの調査は蒲原沖で実施しました。体高が指4本程度ある2歳魚を中心に13匹が釣獲されました。タチウオは研究所に持ち帰り、体長、体重だけでなく、生殖腺の重量や胃の内容物等を調べます。

カツオ資源について考えた一日

2010年12月03日 | 日記
 11月24日の記事で予告しました日本水産学会中部支部大会とシンポジウム「カツオ丸ごと早分かり」が、26日に開催されました。午前中は福井、長野、愛知、三重、静岡県にある大学や研究機関の研究者によるメダカからフナ、マダイ、マダラ、カツオに至る幅広い研究結果が発表されました。午後には「カツオ丸ごと早分かり」と銘打って、カツオの生態から資源、漁業、加工、そして今年の平城京遷都1300年にも関連した古代の鰹節の再現についての話などの講演がありました。そして、その古代鰹節から作ったお粥やカツオ未利用部をすり身にして作った揚げボールの試食もあり、水産技術研究所での初めての学会の開催でしたが、参加者も約80人と盛況の内に閉会しました。近年、資源状態が危惧され始めたカツオ資源の持続的利用について考える良い機会になったのではないでしょうか。



古代鰹節から作ったお粥