網が絞られてきたら、魚の取り込みです。次の写真のように大たもで魚倉に入れます。投網から魚の取り込みまで10~20分ほどです。
網裾が上がった時点で船長は集魚灯を点け、右舷への餌撒きを遠隔操作で行い、再びサバを右舷側に集め始めます。魚の取り込みが終わり、右舷にサバが集まっていると、次の魚を獲るためにすぐ(その2)で説明した投網作業が始まります。非常に忙しく、大変な漁業だと感じました。
サバ棒受網漁業の特徴は、1回の揚網での漁獲量が多くないことです。この日は1回の揚網で、多くても大たも3回の漁獲でした。大たもには300~400kg程度入るそうです。一晩にこの作業を30~50回繰り返して、操業を行います。最初に餌付けたサバ群を継続して漁獲していきますが、漁獲が期待できなくなると、別な場所に移動して新たにサバを餌付けて、操業を開始します。この日は1回場所を移動しました。
次の写真は船の航跡です。
白い線がこの日の航跡で、赤や青の線で以前の航跡が表されています。航跡は滑らかな線ではなく、不自然な曲線で表されており、投網作業の前の船の回り込みが示されています。
この日の漁獲は、サバ群が思ったほど浮上せず、通常の半分程度の漁獲量に留まりました。船長は銭州海域が水温22℃台から20℃台に低下したことが大きな原因と見ていました。