チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

春の近海カツオに期待

2015年04月15日 | 日記
 4月12日、御前崎港で久しぶりにまとまったカツオの水揚げがありました。
 中南海域(北緯22°付近)で漁獲された大(5~7kg)・特大(7~9kg)銘柄のカツオが主体でしたが、前日に伊豆諸島海域(北緯30°付近)で漁獲したという2kg前後の新口(しんくち)とよばれる小カツオも約4トンの水揚げがありました。
 南方から日本近海に北上してくる若い群と思われますが、ようやくこの時期らしいカツオにお目にかかることができました。魚体は小さいですが、仲買や鮮魚店からすると、初夏に向けて需要が多くなるサイズです。
 今後、北上する魚群が多くなり、伊豆諸島海域での操業が本格化すると、初鰹のシーズン到来も間近かと思われます。
 昨年の今頃は、近海カツオの不漁が話題になりましたが、今後の漁模様に期待したいです。


御前崎港に水揚げした近海カツオ船       


ベルトコンベアで水揚げされる特大カツオ


2kgサイズの新口(しんくち)小カツオ


今後の水揚げに期待をよせる漁業関係者

1cmでも一丁前の伊達者

2015年03月27日 | 日記


 平成27年2月25・26日、調査指導船駿河丸でいわし類卵稚仔採集調査を行いました。駿河湾~石廊埼沖30海里~御前埼沖50海里の8調査点で、海面を目の細かいプランクトン採集用試験網を10分間、海面を曳きました。採集した卵稚仔は研究室に持ち帰り、種類を調べました。主な対象はマイワシやカタクチイワシですが、今回は写真のとおり伊達なサンマ稚魚にみとれてしまいました。わずか1cm前後の円柱型の稚魚が、顕微鏡観察のための照明下で、背中が濃青色、腹側が銀白色に輝いていました。頭部の吻端こそ黄色でありませんが、体表の色合いは親魚とほぼ同じです。
 サンマ稚魚は56尾採集され、御前埼50海里南沖(25尾)をはじめ、焼津地先(12尾)や土肥地先(8尾)等駿河湾内でも出現しました。
サンマの産卵と言えば流れ藻に産み付ける習性が有名ですが、産卵海域は黒潮域より沖側といわれているので、駿河湾内で採集された稚魚も外洋系水が湾内に流入した際に運ばれてきたと考えられます。
これの稚魚は餌料が豊富な千島海域を目指して北上回遊をしますので、残念ながら、駿河湾では秋季に脂ののった大型魚の漁獲は期待できません。

生カツオの初水揚げ

2015年01月26日 | 日記
1月23日、御前崎魚市場で今年初めて近海竿釣り船の水揚げがありました。
地元、南駿河湾漁協所属の「第11福栄丸」が中南海域(北緯22°付近)で漁獲した生カツオ約20トンです。
漁場が遠いため、3~4日目の漁獲物ですが、特大(7~9kg)や大(5~7kg)が主体で、身質のしっかりしたカツオでした。
今年初の近海船水揚げとあって、夜明け前から大勢の市場関係者やマスコミ取材が集まり、午前7時の競り前には南駿河湾漁協や仲買人組合の代表から年頭の挨拶がありました。
昨年は11月中旬で近海カツオが終漁し、生カツオを扱うのは約2ヶ月ぶりとなるため、市場の競り声も活発でした。
船頭の話では「去年に比べて魚群は多く見える」とのことで、「昨年は不漁だっただけに、良い年にしたい」と期待しているようです。
前日には千葉県勝浦でも生カツオの水揚げがあったようで、この週末は各地の鮮魚売り場で今年初の生カツオが見られそうです。


  図1 岸壁から市場へ水揚げする第11福栄丸


  図2 競り前のあいさつ


  図3 トロ箱に並んだカツオ 


  図4 体長測定の様子


紋所は黒い半円!

2015年01月22日 | 日記

 昨晩、食べた釜揚げしらすは、しらすとしては大型であったので1尾1尾食べる前に、しらすの種類を確認してみました。 お馴染みの、かたくちいわし、まいわし、うるめいわしのいわし類しらす御三家の中に、別の“しらす”が数尾混っていました。 体長は35mm、いわし類のしらすと同様に白色の仔魚なのですが、腹に半円状の黒色素斑が6個並んでいます。これはエソ科オキエソの特徴です。黒色素斑を7個持つのがチョウチョウエソ、8個持つのがホシノエソで、これらも同じ浅海域に生息するエソ科の仔魚です(東海大学出版会、日本産稚魚図鑑、沖山宗雄編)。  こうしてちびちび飲みながら、静岡県沿岸の生態系の豊かさを垣間見ることができて、何か得した気分になりました。


愛嬌ある姿のカイワリ君

2015年01月05日 | 日記
 横から見ると近縁のシマアジよりもだいぶ体高が高く、また、丸みを帯びていますが、平たく言うと平たい形の魚です。この姿形に愛嬌を覚えるのは私だけでしょうか?
 本種は太平洋側では金華山、日本海側では能登半島以南に多く、また、韓国、東海、南海に分布します。
釣り、定置網や底曳網で漁獲されるのは20cm内外の大きさで、30cmを超えるものもありますが、静岡県では一度に大量に漁獲されることのない希少種です。
旬は夏といわれ、肉は美味とされています。
 11月後半、私の近所にある興津の魚屋さんで1尾分だけ刺身になって売られているのをみつけました。珍しく思い購入し食したところ、マアジとは違った味わい深さがありました。
 カイワリ君、またの再会を!