チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

駿河湾のテンジクタチ

2011年12月27日 | 日記
 相良魚市場から、”背鰭の黄色いタチウオが目に付くが、普通のタチウオと違いがあるのか?”との問い合わせがあり、平成23年11月28日に相良沖の定置網で漁獲された背鰭の黄色いタチウオをサンプルとして提供していただきました。
 外見は、背鰭が黄色いことを除けばタチウオとの大きな違いは見られませんが、魚類検索図鑑で調べてみると、どうやらこの魚はタチウオとは別種の「テンジクタチ」のようです。
 テンジクタチは、背鰭が黄色いことと、口の中の色が明るい色(黄色)であることでタチウオと区別されます。図鑑では分布は四国、和歌山とありますが、インターネットでは三重県尾鷲の市場に水揚げされているとの情報がありました。今回の駿河湾で採捕されため、従来の分布よりも北での採捕記録になります。
 なお、タチウオとテンジクタチの分類については現在も研究が進められており、暫定的なもののようです。
 味の違いは、インターネットでは両者の違いはほとんどないとの情報が多く、今回のサンプルを塩焼きにしてみたが、タチウオとの違いはわかりませんでした。


最上段 タチウオ 下5尾テンジクタチ


タチウオ(上)とテンジクタチ(下) テンジクタチは背びれが黄色 

 

口の中の色の比較 左 タチウオは暗い色。右 テンジクタチは明るい色(黄色)

駿河湾内に暖水波及

2011年12月22日 | 日記
 12月上旬の暖水波及の後、駿河湾内の水温は低下し、15~17℃となっていました。このまま、水温は低下し、真冬の海になるかなと思われましたが、また暖水波及が起きる状況になってきました。

 12月19日以降の海況速報では、遠州灘に黒潮小蛇行からの暖水舌があり、徐々に東に移動しています。


 妻良や波勝崎沖では昨日から今日にかけて水温が16℃から19℃に上昇しました(下図)。今後、駿河湾内に暖水が進入してくると考えられます。水温が低下している状況での暖水の進入なので、急潮が発生する可能性が高くなります。急潮の発生に注意してください。これで、秋から続いていた高温傾向がしばらく続くでしょう。

海が1ヶ月遅れている?

2011年12月12日 | 日記
 先日、シラス漁業者の方と懇談しました。その中で「今年の海は1ヶ月ほど遅れているのではないか?」との話がありました。水温の低下が例年と比べて1ヶ月ほど遅れているのではないかと感じているそうで、そのため、いまだにシラスがまとまって獲れるのではないかと見ています。
 下図に8月以降の焼津の定地水温を平年値と一緒に示しました。9月以降の平年値は徐々に低下していき、12月上旬には17℃台になります。今年は暖水波及による水温上昇が4回あり、その都度平年を上回り低下を繰り返し全体に水温は低下していくという経過をたどりました。11月上旬の水温22℃台は10月上旬の平年値、12月上旬の水温20℃弱は11月上旬の平年値に相当していますので、「今年の海は1ヶ月ほど遅れている」というのは当っているようです。

タチウオ標識魚の再捕

2011年12月02日 | 日記
 駿河丸により標識放流したタチウオが再捕されました。
 これまでに2回、合計48尾を放流していますが、7尾の再捕が報告されています。放流直後には、放流場所付近で再捕されていましたが、最近になり放流場所より南に位置する定置網で再捕されました。今回は12月1日に2尾同時に再捕され、経過日数はそれぞれ14、37日でした。
 次は、どこで再捕されるか楽しみです。

テンガイハタが再び採捕

2011年12月01日 | 日記
11月30日に稀種のテンガイハタが再び獲れました。
今度は吉田町漁協所属のシラス漁船により駿河湾西部で採捕されました。大きさは長さ2.2m、重量11kgでした。

前回の採捕記録(2010年11月30日のブログ参照)は去年の10月5日(遠州灘)と11月5、7日(沼津内浦湾)ですので、1年ぶりに採捕されたことになります。今年も秋に採捕されたことは、この時期に本県沿岸に回遊してくるなど何か理由があるのでしょうか?