チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

8月19日のチリモン教室の結果報告をします

2011年08月26日 | 日記
 チリモン教室には、児童43名、他30名あまりの参加がありました。
 簡単なチリメンモンスター探しの説明をした後に、チリメンの中からモンスターを探してもらいました。それぞれのモンスターの名前を決めながら、好きなモンスターをカードに張ってもらったり、実体顕微鏡で大きくしてみてもらったりしました。
 参加された子供たちは楽しそうにチリメンモンスターを探しており、海の生物に対する理解を深めてくれたのではないかと思います。
 11月の焼津水産高校の学園祭でもチリメン教室が企画されるようです。


平成23年8~12月のサバ漁の見通し

2011年08月16日 | 日記
 イワシ、海況に引き続き、長期予報会議(7月27~28日:中央水研)の結果を基に、本年8~12月の伊豆諸島海域におけるサバ漁の見通しをお知らせします。伊豆諸島海域は、本県のほか千葉県、神奈川県のサバ漁船(棒受網・たもすくい)の主漁場となっています。また、今期漁獲されるのは伊豆諸島周辺に滞留しているゴマサバです。

○ゴマサバ漁の見通し
  三宅島周辺海域が主漁場となり、2歳魚(体長29~32cm:2009年級群)主体に、1歳魚(体長27~30cm:2010年級群)、0歳魚(体長26cm以下:2011年級群)も漁獲され、好調であった前年並の漁が期待できるでしょう。

参考として、本年前半までの伊豆諸島海域におけるゴマサバの年齢別漁獲尾数割合を図に示しました。黒で示した2009年級群(今期の2歳魚)は、加入水準が高いと推定され本年前半までの漁獲の主体になっていました。この2歳魚が、引き続き漁獲の主体となり好調な漁況を支えてくれると考えられます。
 なお、6月下旬以降、三宅島周辺への黒潮の接近のため棒受網のゴマサバ漁況はやや低調に推移していますが、今後の黒潮流路の変化により漁況は好転するものと期待しています。

図 ゴマサバ年齢別漁獲尾数割合(棒受網)








8月から12月の黒潮流路と沿岸水温の見通し

2011年08月12日 | 日記
 平成23年7月27~28日に、今年の8月から12月までの太平洋沿岸域の海況について検討する会議が行われ、黒潮と水温について、以下のように予測されました。
 黒潮流路は、8~9月はN型基調で推移し10月以降はB・C型となります。この間、本県沿岸は概ね冷水域に入り、黒潮流路の変動に伴い一時的に暖水波及が発生します。沿岸域の水温は「平年並み」~「やや低め」、暖水波及時には「高め」となります。

 黒潮流路は下図に示すような型で区別され、N型は蛇行することなく東進、B型は伊豆諸島の西側で蛇行、C型は伊豆諸島海域で蛇行する流路です。また、沿岸水温の「平年並」は平年値±0.5℃程度、「やや低め・高め」とは、平年値±1.4℃以内、「高め・低め」とは平年値±2.4℃以内を示します。
 黒潮は現在N型流路で、8~9月も蛇行が発達せずにN型基調で推移します。九州東岸では8月後半と11月に小蛇行が形成され、これが四国沖に9月~10月と12~1月に東進します。このうち9~10月の小蛇行は、10月以降に潮岬以東へ東進すると考えられるため、10月以降にB、C 型になると予測されます。本県の沿岸水温は、黒潮がN型基調の時には「平年並~やや低め」で推移すると予測されます。
 しかし、黒潮は同じN型流路でも、短期的に岸に近づいたり離れたりすることがあります。沿岸に近づいた時には、暖水が沿岸近くまで侵入して急激に水温が上昇したり、非常に速い潮流が起こることがあるため、黒潮流路の変動に注意する必要があります。


平成23年8~12月のマイワシ漁況予測

2011年08月08日 | 日記
 7月26~28日に開催された長期漁海況予報会議で、マイワシの漁況予測がまとめられました。
 現在の太平洋岸に生息するマイワシの資源は低位ですが、増加傾向にあると考えられています。平成20~22年に生まれたマイワシは低水準ながら資源量が多いと見られており、特に平成22年生まれ群はかなり資源量が多く、前期に銚子近海でまとまって漁獲されました。また、今年生まれ(平成23年生まれ群)も西日本ではすでに漁獲サイズになっており、漁獲がまとまっています。駿河湾でも、由比の定置網で5月から今年生まれのマイワシがまとまって入網し、平成20年以降例を見ない現象となってます(下図)。

しかし、現在、静岡県海域では、1歳魚(平成22年生まれ群)以上を対象とした漁場形成はなく、これらの群を対象とした漁場形成は今後期待できないと考えられます。定置網に入網している0歳魚(平成23年生まれ群)が成長とともにまき網漁場に加入してくる可能性があるとともに、11~12月に産卵のために房総沖からの南下群(1~2歳魚)をまき網が漁獲する可能性があります。

<予測の説明>
平成23年8~12月のマイワシの漁況予測
(1)来 遊 量:(成魚・未成魚) 0歳魚については比較的高い来遊水準であるが、他の年級は低い来遊水準となる。漁獲量は前年並かそれを下回る。
(2)漁期・漁場:(成魚・未成魚) 駿河湾~相模湾のまき網、定置網により、全期間で散発的な漁場形成。
(3)魚  体 :(成魚・未成魚) 体長10~18cmの0歳魚主体で、体長16~20cmの1歳魚が混じる。

ガラスエビ

2011年08月03日 | 日記
 ガラスエビって、知ってますか?
 ガラスのように体が透明なエビ?
 そうです、無色透明なエビで、人目に触れることは非常にまれです。

 カノコイセエビのプエルルス幼生(平成23年7月26日田子の浦沖で採集)

 正体を明かすと、これはイセエビ類のプエルルス幼生です。
イセエビは岩礁域に棲んでいます。雌親の腹肢に付着していた卵から産まれた幼生はフィロゾーマと呼ばれ、親エビとは似ても似つかぬ形をしており(下の写真)、太平洋の真ん中で浮遊生活を送っています。脱皮を重ねたフィロゾーマはやがて岩礁に戻らなくてはなりません。


 これはウチワエビのフィロゾーマ幼生です(平成2年11月8日小川港沖で刺し網に掛かる)。イセエビのフィロゾーマ幼生も同じような形をしています。

 太平洋の真ん中から日本沿岸の岩礁域に戻ってくるために、浮遊生活に適したフィロゾーマから、遊泳に適したプエルルスに変態して、黒潮を横切ってくるのです。やがて、岩礁にたどり着いたプエルルスはすぐ脱皮し、親エビと同じ形の稚エビになってしまいます。そのため、人目に触れることは珍しいわけです。

 写真のプエルルス幼生は、7月26日夜田子の浦沖でのサクラエビ採集調査時に水深40m(海深200m)でIKMTネットに入網したものです。まさに、岩礁域に向かって泳いでいる時に採られてしまったのでしょう。カノコイセエビのプエルルス幼生です。