チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

台風6号の影響(2)

2011年07月27日 | 日記
  台風6号が本県から遠ざかった後に、本県海域の水温に変化が現れました。図に7月18日から25日までの妻良、内浦、由比、地頭方の鉛直水温の推移を示しました。妻良、内浦、由比の3ヶ所では上下にあった水温差がなくなるとともに、表層の水温が下がりました(底層の水温は上がりました)。上下の水温差がなくなる日時が妻良:7月21日午後、内浦:7月22日午前、由比:7月22日午後とずれており、この現象が伊豆半島先端の妻良から駿河湾の中へと伝わってきているようです。海の中で何が起こったのかはこれからの研究テーマです。
 台風6号は21日以降、本県沿岸から離れていっており、この変化が台風の影響かどうかは即断できません。ただし、台風は風や波という形で巨大なエネルギーを海に与えており、何らかの影響とも考えられます。漁業や生物にどのような影響を与えたのかも興味深い点です。



台風6号の影響(1)

2011年07月22日 | 日記
 台風6号により、県内では大量の降雨がありました。大井川の上流に位置する井川では19日から20日にかけて700mmの雨が降りました。

 19日の降水量は500mmを超え、過去最も多い降水量となりました。過去のまとめでは、井川での降水量が300mmを超えると、川から流沈木が海に流出する状況が想定されます。既に由比港や地頭方港ではごみや流木が流れ込んでいたり、静波海岸でも浜にごみが打ち揚がってます。注意してください。

(図については気象庁HPデータから作成)

タチウオの採集

2011年07月15日 | 日記
 7月11、12日に、駿河丸でタチウオ調査を行いました。4月、6月の調査ではタチウオを採集できませんでしたが、今回は駿河湾内で採集に成功しました。胃の中からは、10cm程度のカタクチイワシを捕食していました。


採集したタチウオ


胃の中から出てきたカタクチイワシ

湧昇

2011年07月08日 | 日記
 最近の海況速報では、伊豆半島や房総半島といった半島の先端部の東側に低水温域があります(7月6日の海況速報で、赤い三角で低水温域を示しています)。

 この低水温域は強い南西風が吹き続けたために、湧昇が発生したためと考えられます。南西の風がおおよそ20時間以上吹き続けると、表層の海水は風の吹き去る方向(北東)ではなく、風の進行方向に対して右(南東)に流れるようになります。地球の自転の影響のためです。流れ去った表層の水を補うように、深層の水が湧き上がってくるので、水温は下がります。地頭方の水温推移は下図のとおりです。7月4日から湧昇が発生し、表面の水温は24℃から20℃まで、4℃ほど下がりました。7月6日には南西風が止んだため、以降は湧昇も解消し水温は上がっています。