チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

1cmでも一丁前の伊達者

2015年03月27日 | 日記


 平成27年2月25・26日、調査指導船駿河丸でいわし類卵稚仔採集調査を行いました。駿河湾~石廊埼沖30海里~御前埼沖50海里の8調査点で、海面を目の細かいプランクトン採集用試験網を10分間、海面を曳きました。採集した卵稚仔は研究室に持ち帰り、種類を調べました。主な対象はマイワシやカタクチイワシですが、今回は写真のとおり伊達なサンマ稚魚にみとれてしまいました。わずか1cm前後の円柱型の稚魚が、顕微鏡観察のための照明下で、背中が濃青色、腹側が銀白色に輝いていました。頭部の吻端こそ黄色でありませんが、体表の色合いは親魚とほぼ同じです。
 サンマ稚魚は56尾採集され、御前埼50海里南沖(25尾)をはじめ、焼津地先(12尾)や土肥地先(8尾)等駿河湾内でも出現しました。
サンマの産卵と言えば流れ藻に産み付ける習性が有名ですが、産卵海域は黒潮域より沖側といわれているので、駿河湾内で採集された稚魚も外洋系水が湾内に流入した際に運ばれてきたと考えられます。
これの稚魚は餌料が豊富な千島海域を目指して北上回遊をしますので、残念ながら、駿河湾では秋季に脂ののった大型魚の漁獲は期待できません。