仕事で冷泉町にある「博多の北辰さん」寳照院北辰堂へ。
北辰さんはもともと智樂院という宝満山に端を発する修験道の寺で、明治の神仏分離によって山を降りて志摩の寳照院と合併したそうな。
これまで何度かお参りに来たことはあるんだけど、今日は寳照院について詳しいと何かで見かけた入口右手の「コーヒーショップ タカラ」にも寄ってきた。
北辰さん(北辰妙見=北極星≒北斗七星)は古来より火除けの神として信仰されてきたそうで、福岡大空襲でもこの周辺(旧竹若番)は延焼を免れたって話だけど、「タカラ」もえらい年季の入った喫茶店で、もしかしたら戦前からあるんじゃないかって思うほど。
コーヒーを飲みながらハタと思いついて「もしかして『タカラ』って寳照院の『寳(宝)』ですか?」って訊いてみたら、「前は2階に麻雀屋さんがあって、そっちは『テル』(照)だったのよ」と女将さん(とコーヒーショップで呼ぶべきなのか?)
「ここは檀家がおらんけん、住職はサラリーマンをしとるとです」とかなんとか言ってたから、ご主人(あるいはご子息)がご住職で、ご家族で喫茶店をやりつつお祭りなどの世話をしてるんだろう。毎年8月6日(旧暦七夕)は夏祭りで辻祈祷を行い、12月2・3日は大黒天福迎祭でぜんざいがふるまわれ、伝教大師(最澄)作と伝わる大黒天像がご開帳となるそう。
「いま話題の『ななつ星』(JR九州のクルーズトレイン)もコッチが先て言いよるとよ」と女将さんと若女将(たぶんお嫁さん)が言うので、本堂奥のご本尊(北辰妙見大菩薩)の上にある北斗七星がきれいにデザインされた扁額を見せてもらったが、これが1864(文久三)年に西町の大工さんが病気治癒のお礼に奉納したものなのだとか。他にも戦前のものらしき山笠の標題や山笠に飾ってあったという鷹?の人形など、貴重なものをいろいろと見せていただいた。
![]() | 賽銭箱の向こうに見える大黒天は秘仏ではない。 濡れ縁には半分に切られた白菜が転がる (おそらく喫茶店のもの)アットホーム?なお堂。 |
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左が山門、右がコーヒーショップ「タカラ」で日替り定食600円、 ホットコーヒーはいくらだったっけ…。 二つ合わせて鰻の寝床のような土地に立っている。 |
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ご本尊・北辰妙見大菩薩の厨子の上に掛かる、大工さんが奉納した“ななつ星”の扁額。 江戸時代に北斗七星がこんな風に図案化されてたんだと驚いたけど、 北斗七星そのものは北極星と共に天の中心にあるものとして信仰されてたので、 別に不思議ではないんだろう。 厨子の扉の七曜紋も北斗七星を象ったもの。 ちなみに右の厨子には年に1度だけご開帳となる秘仏・大黒天尊が入っているそう。 |
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厨子手前の欄間は奥側に蛇、手前に「ガメ」(亀蛇(きだ)とも言って、亀の体に龍の頭がついている)が彫られている。 若女将によると、熊本の八代神社(妙見宮)にもこの亀蛇の石像があって、 同社の大祭・妙見祭に登場する亀蛇などの山車は山笠同様ユネスコの無形文化遺産に指定されているのだとか。 |
![]() | かつて西町流の山笠に飾られていたという鷹の人形。 てっきり木彫りかと思ったら、これも紙製らしい。 |
![]() | 妙見さんの前から道路と敷地の間に続く謎の縁石。 若女将曰く、「太閤町割のときに秀吉さんが造らせたんじゃないかと私は思ってるんですけどね」。 |

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