「ごく平凡な記憶力の私が一年で全米記憶力チャンピオンになれた理由」

2011-08-18 | 
ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由
クリエーター情報なし
エクスナレッジ


題名のとおりの本です。ジャーナリストが記憶力選手権を取材しているうち、自分で試してみて、結局チャンピオンになった、という実話です。
記憶の仕方云々も書いてありますが、この本はノウハウ本ではありません。記憶する、ということがどういうことか、記憶していくことの重要性などを古代まで遡り、説明してくれています。
なるほど、文字が無い時代は、口述が唯一の伝達手段。物語にしろ歴史にしろ、とにかく耳で聞き、記憶し、伝えていくことが基本だったわけです。
文字、本が発明されても、あくまで記憶を補完するためのツールでしかなかったとのこと。
自分の頭から引き出すこと、が重視されなくなり、外付け記憶装置(=これは本も含みます)にどんどん記録し、必要なときにそれを引き出せるのが現在。
確かに「丸暗記」は意味が無い、と、「考える」学習が提唱されています。
しかし、物事を考えるためには、最低限の知識が必要です。つまり頭で考えるためには、それ相応の知識が詰め込まれている必要があるわけで、その知識が多ければ多いほど、頭の中で考え得る結論・思考も多岐に渡り、或いは正解を導きやすくなるわけです。
記憶力、というものがあまり重視されない現在(=とって代わるものが山ほどあります。クラウドなんかもいい例)、実は「記憶する」というもっともシンプルな学習スタイルを見直すべきではないか、という思いが湧いてくるような、そんな本でした。

この本は、お勧めの部類に入ります。。♪