映画と本の『たんぽぽ館』

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勝手にふるえてろ

2018年01月05日 | 映画(か行)
ヨシカの実像がリアルに迫る



* * * * * * * * * *

綿矢りささん原作の本作、恋愛コメディとはいっても、さすがに一味違う。



恋愛経験のないOL、ヨシカ(松岡茉優)
。同期の“ニ”(渡辺大知)にコクられてテンションが上がります。
けれども、彼女にはもう一人の恋人“イチ”(北村匠海)がいる。
“イチ”というのは、中学校のときの同級生なのですが、
実のところろくに話をしたこともなく、
ただ王子様のように憧れていただけなのです。
しかしイチカはこれまでずっと“イチ”を心の彼氏として思い続けてきた・・・。
二人の彼氏(?)の間で揺れる彼女は、
今の“イチ”に会って前のめりに死んでいこう(?)と、決意します。
別人の主催者になりすまして、同窓会を計画。
ついに、“イチ”との再会の日がきますが・・・。



いい年して、中学校の同級生を片思いのまま思い続けるだなんて・・・
少女漫画じゃあるまいし、あまりにも夢見がち・・・? 
と、私には思えるのですが、
しかしヨシカの実像が見えてくるに従って、
彼女にとってこのことは、
生きるためにすがるたったひとつの糸のようなものだとわかってきます。





金髪のカフェ店員や、いつも同じところで釣りをしているおじさん、
駅員さんに、コンビニの店員・・・
イチカには気安く話のできるおなじみの人がずいぶんいる、
という光景が映し出されるわけですが、
それはフェイクで・・・。



人付き合いが得意ではなく、ひたすら孤独の底に落ち込んでいく・・・、
おちゃらけて、めんどくさい女に見えていたヨシカの実像が、
痛いくらいに切実に迫ってくるのです。
王子様の実像もきつかったなあ・・・。



さて、そんな中で、“ニ”は実にいいヤツだ!!
こんな人を疎かにしたらバチが当たりますよ、ホント。



ヨシカの言葉遣いが、とても乱暴なのですが、
今時の女子ならそんなものでしょう。
リアルで実感があります。
なかなか見ごたえのあるコメディなのでした。


<ディノスシネマズにて>
「勝手にふるえてろ」
2017年/日本/117分
監督・脚本:大九朋子
原作:綿矢りさ
出演:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海、趣里、古舘寛治、片桐はいり
イタい女度★★★★★
満足度★★★★☆


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