映画と本の『たんぽぽ館』

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隣人X 疑惑の彼女

2024年03月30日 | 映画(ら行)

わからないから、恐れ、遠ざける

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故郷の惑星の紛争により、宇宙から難民として地球にやって来た
「X」と呼ばれる生命体が世界中にあふれ始めています。

日本は、アメリカに追従し、彼らの受け入れを決めます。
Xは人間にそっくりな姿で、人々の日常に紛れ始めます。
しかし人々は、Xについてはよくわからないまま。
Xを見つけ出そうと躍起になり、社会に動揺や不安が広がります。

さてそんな中、週刊誌記者・笹憲太郎は、
X疑惑のある柏木良子(上野樹里)の追跡を開始。
自身の身の上を隠しながら良子に接近し、徐々に距離を縮めていきます。
そして次第に良子に対して本当の恋心を抱くように・・・。

彼女への思いと、罪悪感、そして記者としての役割・・・。
思いがぐちゃぐちゃになり混乱する憲太郎・・・。

 

宇宙からきた生命体X、とSF仕立てではありますが、
かなりオーソドックスなラブストーリーでもありました。
おずおずと接近し交際を始める良子と憲太郎の2人。
良い感じです。

そしてもうひとり、X疑惑を受ける人物として、
台湾からの留学生・リンが登場します。
彼女は彼女でまた、ミュージシャン志望の青年(野村周平)と恋をすることになります。
彼女の場合は「X」としてではなく、
異国の少女として周囲から差別を受けたり蔑まれたりするのです。
つまりそれは「X」が地球人から差別を受けたり
いわれない誹謗中傷を受けたりすることと同心円なんですね。

何も相手が宇宙人だからというのでなくとも、
この世界には自分と「違う」ということだけで、
差別を受けたりすることはほとんど当たり前というくらいにたくさんある。

多分、私たちはよく知らない相手が「恐い」のでしょう。
だからつい、まず拒否感があって、相手を遠ざけようとして、
差別したり非難したりする。

そうではなく、まずは互いを知るところから始めるべきなのに。
個人単位ならまだ容易なことも、団体単位だと難しくなっちゃいますね・・・。

 

<Amazon prime videoにて>

「隣人X 疑惑の彼女」

2023年/日本/120分

監督・脚本:熊澤尚人

原作:パリュスあや子

出演:上野樹里、林遣都、ファン・ペイチャ、野村周平、酒向芳

 

疑惑度★★★★☆

満足度★★★★☆



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