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アバウト・レイ 16歳の決断

2019年04月22日 | 映画(あ行)

動揺し、悩み、ジタバタする大人たち

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トランスジェンダーの16歳レイ(エル・ファニング)は、
身も心も男性として生きたいと思っています。
そこで、ホルモン治療を受けようとするのですが、そのためには両親の同意書が必要。
レイは、母マギー(ナオミ・ワッツ)と一緒に暮らしていますが、
父は離婚し今は全く没交渉。
マギーはどこにいるかも知らなかった元夫の居所を探し出し、
同意書のサインを貰おうとしますが・・・。

本作ではレイのトランスジェンダーは明らかで、
本人が「男」の姿になりたいという決意は確固としたものなのです。
小さい頃からドレスを着たがらなくて男の子の遊びにばかり興味を持った
・・・というレイは、確かに「男」なのに「女」の体で生まれてしまったということなんですね。
それなので本作で動揺するのはレイの親たち。
本当にホルモン治療を受けて良いものなのかどうか・・・、
動揺し、悩み、ジタバタする大人たちの物語といっていいでしょう。
母親はそれでも、長い間レイとともにカウンセリングを受けたり医師に相談したりしてきたので、
この治療が最善と納得はしているのです。
けれど、何も知らずいきなりそのことを聞いた父親の動揺は無理もありません・・・。
そしてまた、母と父との間にかつてあった
思いがけない“事件”には驚かされてしまいました・・・。

更にはレイの祖母ドリー(マギーの母)(スーザン・サランドン)がレズビアンで、
女性をパートナーとして同居しているという、これまたユニークな設定。
自らがマイノリティである祖母は、レイの治療には積極的。
さすが理解があります。
LGBTの見本市みたいな家族、ここまできたら怖いものなしです。

スーザン・サランドン、ナオミ・ワッツ、そしてエル・ファニングという女優たちが、
見事に存在感あふれる母娘3代を見せてくれました。
そして言うまでもありませんが、エル・ファニングは見事に「少年」を演じているのです。
これは一見の価値あり。



サインが得られずクシャクシャに丸められた同意書が
車の座席でコロコロ転がっているシーンには思わず唸ってしまいました。
なんともナイスな演出!

アバウト・レイ 16歳の決断 [DVD]
ナオミ・ワッツ,エル・ファニング,スーザン・サランドン
Happinet


<WOWOW視聴にて>
「アバウト・レイ 16歳の決断」
2015年/アメリカ/92分
監督:ゲイビー・デラル
出演:エル・ファニング、ナオミ・ワッツ、スーザン・サランドン、テイト・ドノバン、リンダ・エモンド、サム・トラメル
LGBT度★★★★★
満足度★★★★☆



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