映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

山女

2024年03月13日 | 映画(や行)

あきらめることしかなかった人生

* * * * * * * * * * * *

重厚です。

18世紀後半の東北。
冷害による飢饉で苦しむ村。

凜(山田杏奈)の家は、曾祖父が火事を起こしたことから、
田畑の大半を奪われ、村の汚れ仕事を引き受けながら、蔑まれて生きています。
父や弟、自分にはなんの責任もないことながら、
村の中で酷い差別をずっと受け続けているのです。

そんな凜の心の支えは、盗人の女神様が宿るといわれる早池峰山。

ある時、盗みを犯した父が村人から責められているのを見た凜は
とっさに、それは自分がやったと言って、父を庇います。
そして家を守るため自ら家を出て山に入ります。
決して越えてはならないと言い伝えられている山神様のほこらを越えて、さらに山奥へ。
そこで凜は、人間なのかもよくわからない、
不思議な存在<山男>(森山未來)と出会います。

さてそんな時、村ではいよいよ食べるものも枯渇。
占いのばあさまの言葉を信じて、
天候回復のために、乙女を生け贄に捧げる相談がまとまります。
そこで凜が候補に挙げられ、山に入った凜を人々が探しに来ます。

山に入って、仙人のような暮らしをしている謎の男と出会ってからの凜は、
これまでの人生の中で最も幸せなときであったでしょう。
山男は、何も言葉を発しないのですが、やさしく凜に寄り添ってくれる。
何も強制はしない。
・・・しかし穏やかなこんな暮らしは長くは続かず、
凜を探す者たちによってあっけなく打ち砕かれてしまいます・・・。

そんな悲惨な運命をも、ただ黙って受け入れる凜。
彼女の人生にはあきらめしかなかったかのようです。

こんな彼女に、救いはあるのか・・・?
じっくり最後まで見届けてください。

 

<WOWOW視聴にて>

「山女」

2022年/日本・アメリカ/100分

監督:福永壯志

脚本:福永壯志、長田育恵

出演:山田杏奈、森山未來、二ノ宮隆太郎、三浦透子、永瀬正敏、でんでん、品川徹

 

困窮度★★★★★

満足度★★★.5