映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

To Leslie トゥ・レスリー

2023年12月27日 | 映画(た行)

落ちぶれ、ボロボロになった先に

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テキサス州西部に暮らすシングルマザーのレスリー(アンドレア・ライズボロー)。
宝くじに当選し高額の賞金を手にするのですが、
数年でそのお金を酒で使い果たしてしまいます。

住む場所も行き場も失い、疎遠だった息子のところに転がり込みますが、
相変わらず酒に溺れる姿にあきれられ、追い出されてしまいます。

そして故郷の町、かつての友人を頼りますがそこでもすぐに追い出されるハメに。
そんな中、スウィーニーというモーテルの従業員と知り合い、
拾われてモーテルの清掃の仕事を得ますが・・・。

アンドレア・ライズボローは第95回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。
確かに、このレスリーの落ちぶれ方、生活の荒れ方は、息をのむようです。

ちなみにレスリーがこのときに当てたのが19万ドル。
つまり約2500万円。
億ならともかく、これは使おうと思えばあっという間に使い果たせる金額ですよね・・・。
しかし気持ちばかりが大きくなってやがて酒浸りのアルコール依存。
無一文になったばかりか、実はもっと酷いことをしていたのは終盤に明かされます・・・。

こんなことをしていてはダメだ。
なんとかやり直しなさい。

もちろん周囲の人々はそう忠告します。
でも、誰に何度言われてもダメで、
こういうことは本人が自分で気づくほかないのでしょう。

レスリーは閉店間際のバーでひとりぼっちで古い曲を聴きます。
「今いるのは本当に自分が居たかった場所なのか?」
そう問いかける歌詞が、突然レスリーの心に刺さるのです。

ほんの些細な、偶然のようなきっかけで大きく心が動くことがある。
そういう所に、私はリアリティを感じました。

また、そんな時にもやはり1人の気持ちだけではダメで、
たった1人でもいい、寄り添ってくれる人が必要なわけです。

いい物語でした。

<WOWOW視聴にて>

「To  Leslie トゥ・レスリー」

2022年/アメリカ/119分

監督:マイケル・モリス

出演:アンドレア・ライズボロー、アンドレ・ロヨ、オーウェン・ティーグ、スティーブン・ルート、マーク・マロン

アルコール依存度★★★★★

気づき度★★★★☆

再生度★★★★☆