さて、あとは組み付け作業のみです。原則として分解の逆でOKですので、ほとんどの説明を省略しますね(投げやり)。そうです、自分は整理整頓が苦手で何事もやりっぱなしという性格なのです。2歳児と一緒になって家の中を散らかしまくっています。そして組み付けの説明を省略し尻切れトンボでこの投稿を終えるのです。
それはさておき、組み付けで注意すべき点だけまとめると…。
○全てのOリング類を新品に換えること。
○エアスクリューは、めい一杯まで締めこんでから、規定回転数戻すこと。2と1/4です。ただし自分の車体は後ろだけ2と1/3くらいでした。前述の通り純正セッティングはやや薄めだと思われるので、気持ち(1/8回転くらい)締め気味にしておきました。エアスクリューは、修理完了後も車体にドライバー1本突っ込めば調整できるので、調子に変化があるようならばあとで再調整するからOKです。
バキュームチャンバーの噛み合せ
○バキュームチャンバーにフタをするときは、気付くと思いますが、噛み合せがあるので間違えないように。ただし写真は分かり易いようにフタを天地逆さまに置いていますので悪しからず。
リンクのピン
○リンクロッドを留めるときは、ここのピンは新品に交換します。本来は単なる使い捨ての割ピンが使われていますが、自分はこの形のクリップピンの方が、付け外ししやすく再利用できるので好きです。
エアーファンネルの取り付け
○「さら」をつける時、このエアーファンネルも取り付けることになります。前後で長さが違うので、取り付けるとき注意がいります。写真で参考にしてください。このことは何故かサービスマニュアルに書かれておりませんが、唯一、ホンダオフィシャルサイトに載っている「ファクトブック」という中にVTRの項目があり、そこにこのファンネルの前後の長さが書かれております(偶然見つけた)。
スロットルバルブ。全閉状態。
○同調
今まで何度もスロットルバルブという言葉を書きましたが、ご紹介が遅くなりました、これのことです。アクセルワイヤーと連動してこのバルブが開閉されます。ピストンバルブは負圧で動くと説明しましたが、スロットルバルブはワイヤーで直接動くのです。スロットルバルブの開度でベンチュリー内にかかる負圧が調整され、結果としてピストンバルブが動くわけです(多分)。
で、何故今このスロットルバルブに注目するかというと、最後に同調を取るためです。
上の写真でマルを付けたあたり。写真には写っていませんが、バルブを開くとこの付近に混合気だか燃料の吹き出し口が3つばかりあります。不勉強のため残念ながらどの穴が何の役割なのかは自分には判りかねます。ただ単に、この穴を目印にしてザックリと気筒間同調を取ることが可能なのです。
キャブレターいじりに片足を突っ込むと、「同調」っていうのはよく聞く言葉です。同調を取るため調整するのはずばりこのスロットルバルブです。同調というのは、要するに前後それぞれのキャブのスロットルバルブ開度がしっかり揃っているということです。4気筒の場合は4つスロットルバルブがありますし、VTは2個です。また単気筒は1個しかキャブがないので同調調整不要になります。分かりますよね?中にはSRXみたくシングルなのに2個キャブがあるモデルもありますが、これは例外です。たまにヤフオクの車体出品を見てると、どう考えても単気筒シングルキャブなのに「キャブレター同調済み」とか書かれていますが、これはハッタリですね。
それでは何をもって「スロットルバルブが揃っている」と言えるのかというと、「アイドリング時の吸入負圧が各気筒で一致していること」です。これを計測するためにバキュームゲージというのを使います。バキュームゲージというのは、口でホースを加えて吸うと、針が動くゲージです(ちなみにホースを吹いてもマイナスの方へ向かって針が動きます)。吸引力を数字で示すゲージなわけです。自分はインターネットでかじった方法で、1つのゲージに水槽用のホース分岐ジョイントを繋ぎ、これに耐油チューブを繋いで使っています。
が!
わざわざこのゲージを買わなくても、スロットルバルブを目視することでかなりの精度で同調を取れます。もちろんOHでキャブを取り外した時でないと、スロットルバルブを目で見ることは出来ません。つまりバキュームゲージを使うのは、車両本体にキャブレターを装着してある状態で同調を調整したい時が主ということです。
では目視による具体的なやり方を書きます。
1.OHが終了し、キャブと「皿」の結合を完成させ、リンクロッドも取り付けてある状態であること。
2.アイドリング調整ねじで、スロットルバルブを調整する。アイドリング調整ねじで調整するのは後ろ側キャブのスルットルバルブのみです(前側も一緒に、動くけど無視)。
調整の目安は、スロットルを完全に閉じた状態で、3つの穴のうち一番最初の穴が、スロットルバルブの陰からほんの僅かに顔を出す程度か、ギリギリで隠れている程度です。写真赤丸のあたりを見て調整します。
3.下の写真の同調調整スクリューを回し、今度は前側キャブのスロットルバルブを調整。同調調整スクリューは、リンクロッドを介して前側キャブのバルブだけを調整できる仕組みです。調整規準は2と全く同じ場所にすること。この時後ろ側キャブのバルブは動かないので安心してください。
4.前後キャブの調整が済んだら、アクセルワイヤーホルダーを回してスロットルバルブを開閉させ、間違いなく前後のキャブが同じ開閉度で連動していることを確認する。
同調調整スクリュー(=前側キャブのスロットルバルブ開度調整スクリュー)
以上で終了です。4気筒の同調はめんどくさいので、再びVTは素晴らしいなと思う次第。あとは取り外しと逆に組み上げて終了!アイドリングの回転数も、多分上の1~4の行程でおよそ規定値付近になっているはずですので、あとは微調整をしてください。一度同調が揃えば、あとはアイドリングネジで回転数を変え(スルットルバルブ開度を変える)ても、OKです(同調調整スクリューは前シリンダーだけを調整するもので、アイドリング調整スクリューは前後連動で調整する仕組みのため)。お疲れ様です。
なおキャブOH後の始動時は、コケてオーバーフロウした直後と似て中々エンジンがかかりません。キャブの中のガソリンがカラなので仕方ないですね。しばらくセルを回していればかかりますが、その後乗る予定が無いためバッテリーをあまり消費したくない場合は、ガソリンコックの負圧チューブを口で吸って予めキャブにガソリンを流してやるのが良いです。
※ ※
なお余談ですが、組み付け時に凡ミスがありました。エンジンをかけたところ、かかるはかかるのですが、なんと言うか非常に回転が弱々しい!おまけにアクセルを開けるともたつき、ワイドオープンでストール。薄すぎの症状です。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そんなはずはないッ!このわたしが、まさかッ!!
2日間悩みました。
悩みぬいた末、前シリンダーのイグニッションコイルの配線を接続し忘れたことを思い出した。つまり片肺であった。なーんだウッカリじゃんこれで直ったよヤレヤレと思いきや、いまだに薄い症状は変わらず。
さらに2日悩みました。同調をいじったりスローをいじったり。
結局、修理前タンクからガソリンを抜いた時、抜きすぎて単なるガス欠になっていたことが判明。
われながらうかつでした(結局同調はバキュームゲージを使って取り直しました)。
ゲージを使った同調の取り方は他にも色んなサイトで紹介されているので端折りますが、コツは後ろのシリンダーヘッドにだけ標準装着されてるガソリン負圧コック用の「負圧取り出しプラグ」を、純正部品でもう1本取り寄せ、前シリンダーの負圧取り出しネジ穴に使うことです。前後ともしっかりホースが挿さるので計測がラクになります。
これにて一件落着です。
1日くらい走ってみてプラグの焼け色を見ると、相変わらず白っぽいものの、前後とも同様の焼け方で問題ナシ。
で肝心のアイドリングのばらつきは直ったかと言うと…
ブラボー!おお…ブラボー!完璧です。英語で言えばイッツ・パーフェクト、仏語で言えばイル・パフェです。見てくれこの躍動感溢れるソリッドでヘヴィなアイドリングを。メーターはピタリと1300回転を示して微動だにしない。アイドリングだけは今ならビッグマシンやスーパースポーツにも負ける気がしないぜこのオレはッ!
どうでも良いですね。
今回得た教訓は、距離を走った分だけ、エアー通路はベタベタした汚れで段々と詰まる、ということです。
糸冬
それはさておき、組み付けで注意すべき点だけまとめると…。
○全てのOリング類を新品に換えること。
○エアスクリューは、めい一杯まで締めこんでから、規定回転数戻すこと。2と1/4です。ただし自分の車体は後ろだけ2と1/3くらいでした。前述の通り純正セッティングはやや薄めだと思われるので、気持ち(1/8回転くらい)締め気味にしておきました。エアスクリューは、修理完了後も車体にドライバー1本突っ込めば調整できるので、調子に変化があるようならばあとで再調整するからOKです。
バキュームチャンバーの噛み合せ
○バキュームチャンバーにフタをするときは、気付くと思いますが、噛み合せがあるので間違えないように。ただし写真は分かり易いようにフタを天地逆さまに置いていますので悪しからず。
リンクのピン
○リンクロッドを留めるときは、ここのピンは新品に交換します。本来は単なる使い捨ての割ピンが使われていますが、自分はこの形のクリップピンの方が、付け外ししやすく再利用できるので好きです。
エアーファンネルの取り付け
○「さら」をつける時、このエアーファンネルも取り付けることになります。前後で長さが違うので、取り付けるとき注意がいります。写真で参考にしてください。このことは何故かサービスマニュアルに書かれておりませんが、唯一、ホンダオフィシャルサイトに載っている「ファクトブック」という中にVTRの項目があり、そこにこのファンネルの前後の長さが書かれております(偶然見つけた)。
スロットルバルブ。全閉状態。
○同調
今まで何度もスロットルバルブという言葉を書きましたが、ご紹介が遅くなりました、これのことです。アクセルワイヤーと連動してこのバルブが開閉されます。ピストンバルブは負圧で動くと説明しましたが、スロットルバルブはワイヤーで直接動くのです。スロットルバルブの開度でベンチュリー内にかかる負圧が調整され、結果としてピストンバルブが動くわけです(多分)。
で、何故今このスロットルバルブに注目するかというと、最後に同調を取るためです。
上の写真でマルを付けたあたり。写真には写っていませんが、バルブを開くとこの付近に混合気だか燃料の吹き出し口が3つばかりあります。不勉強のため残念ながらどの穴が何の役割なのかは自分には判りかねます。ただ単に、この穴を目印にしてザックリと気筒間同調を取ることが可能なのです。
キャブレターいじりに片足を突っ込むと、「同調」っていうのはよく聞く言葉です。同調を取るため調整するのはずばりこのスロットルバルブです。同調というのは、要するに前後それぞれのキャブのスロットルバルブ開度がしっかり揃っているということです。4気筒の場合は4つスロットルバルブがありますし、VTは2個です。また単気筒は1個しかキャブがないので同調調整不要になります。分かりますよね?中にはSRXみたくシングルなのに2個キャブがあるモデルもありますが、これは例外です。たまにヤフオクの車体出品を見てると、どう考えても単気筒シングルキャブなのに「キャブレター同調済み」とか書かれていますが、これはハッタリですね。
それでは何をもって「スロットルバルブが揃っている」と言えるのかというと、「アイドリング時の吸入負圧が各気筒で一致していること」です。これを計測するためにバキュームゲージというのを使います。バキュームゲージというのは、口でホースを加えて吸うと、針が動くゲージです(ちなみにホースを吹いてもマイナスの方へ向かって針が動きます)。吸引力を数字で示すゲージなわけです。自分はインターネットでかじった方法で、1つのゲージに水槽用のホース分岐ジョイントを繋ぎ、これに耐油チューブを繋いで使っています。
が!
わざわざこのゲージを買わなくても、スロットルバルブを目視することでかなりの精度で同調を取れます。もちろんOHでキャブを取り外した時でないと、スロットルバルブを目で見ることは出来ません。つまりバキュームゲージを使うのは、車両本体にキャブレターを装着してある状態で同調を調整したい時が主ということです。
では目視による具体的なやり方を書きます。
1.OHが終了し、キャブと「皿」の結合を完成させ、リンクロッドも取り付けてある状態であること。
2.アイドリング調整ねじで、スロットルバルブを調整する。アイドリング調整ねじで調整するのは後ろ側キャブのスルットルバルブのみです(前側も一緒に、動くけど無視)。
調整の目安は、スロットルを完全に閉じた状態で、3つの穴のうち一番最初の穴が、スロットルバルブの陰からほんの僅かに顔を出す程度か、ギリギリで隠れている程度です。写真赤丸のあたりを見て調整します。
3.下の写真の同調調整スクリューを回し、今度は前側キャブのスロットルバルブを調整。同調調整スクリューは、リンクロッドを介して前側キャブのバルブだけを調整できる仕組みです。調整規準は2と全く同じ場所にすること。この時後ろ側キャブのバルブは動かないので安心してください。
4.前後キャブの調整が済んだら、アクセルワイヤーホルダーを回してスロットルバルブを開閉させ、間違いなく前後のキャブが同じ開閉度で連動していることを確認する。
同調調整スクリュー(=前側キャブのスロットルバルブ開度調整スクリュー)
以上で終了です。4気筒の同調はめんどくさいので、再びVTは素晴らしいなと思う次第。あとは取り外しと逆に組み上げて終了!アイドリングの回転数も、多分上の1~4の行程でおよそ規定値付近になっているはずですので、あとは微調整をしてください。一度同調が揃えば、あとはアイドリングネジで回転数を変え(スルットルバルブ開度を変える)ても、OKです(同調調整スクリューは前シリンダーだけを調整するもので、アイドリング調整スクリューは前後連動で調整する仕組みのため)。お疲れ様です。
なおキャブOH後の始動時は、コケてオーバーフロウした直後と似て中々エンジンがかかりません。キャブの中のガソリンがカラなので仕方ないですね。しばらくセルを回していればかかりますが、その後乗る予定が無いためバッテリーをあまり消費したくない場合は、ガソリンコックの負圧チューブを口で吸って予めキャブにガソリンを流してやるのが良いです。
※ ※
なお余談ですが、組み付け時に凡ミスがありました。エンジンをかけたところ、かかるはかかるのですが、なんと言うか非常に回転が弱々しい!おまけにアクセルを開けるともたつき、ワイドオープンでストール。薄すぎの症状です。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
そんなはずはないッ!このわたしが、まさかッ!!
2日間悩みました。
悩みぬいた末、前シリンダーのイグニッションコイルの配線を接続し忘れたことを思い出した。つまり片肺であった。なーんだウッカリじゃんこれで直ったよヤレヤレと思いきや、いまだに薄い症状は変わらず。
さらに2日悩みました。同調をいじったりスローをいじったり。
結局、修理前タンクからガソリンを抜いた時、抜きすぎて単なるガス欠になっていたことが判明。
われながらうかつでした(結局同調はバキュームゲージを使って取り直しました)。
ゲージを使った同調の取り方は他にも色んなサイトで紹介されているので端折りますが、コツは後ろのシリンダーヘッドにだけ標準装着されてるガソリン負圧コック用の「負圧取り出しプラグ」を、純正部品でもう1本取り寄せ、前シリンダーの負圧取り出しネジ穴に使うことです。前後ともしっかりホースが挿さるので計測がラクになります。
これにて一件落着です。
1日くらい走ってみてプラグの焼け色を見ると、相変わらず白っぽいものの、前後とも同様の焼け方で問題ナシ。
で肝心のアイドリングのばらつきは直ったかと言うと…
ブラボー!おお…ブラボー!完璧です。英語で言えばイッツ・パーフェクト、仏語で言えばイル・パフェです。見てくれこの躍動感溢れるソリッドでヘヴィなアイドリングを。メーターはピタリと1300回転を示して微動だにしない。アイドリングだけは今ならビッグマシンやスーパースポーツにも負ける気がしないぜこのオレはッ!
どうでも良いですね。
今回得た教訓は、距離を走った分だけ、エアー通路はベタベタした汚れで段々と詰まる、ということです。