バキュームチャンバー
びよろーん。
フタをあけるとこうなってます。バネの力はそれほど強くないので、吹っ飛ぶようなことはないでしょう。
ここはシリンダーから生じる負圧でピストンバルブが上下する仕組みです。
よく物の本には「指で上下に動かし滑らかに動くかどうか確認する」なんて書かれてますが、より確実に動作を診るためには、ぜひキャブの出口側(上の写真でいうと左側)を掃除機で軽く吸いながら(=負圧をかける)スロットルバルブを開け閉めしてみてください。負圧でピストンバルブが上下する仕組みがよく分かると思いますよ。
ピストンバルブ
ピストンバルブとゴム製のダイヤフラムは一体化しております。真中の針がジェットニードル。バルブの上下運動に合わせて、ニードルホルダーと「抜き差し」する関係です。なかなかセクシーな部品ですね、とんがってて気持ちよさそうです。あぁん。
ニードルの先端部分が、メインジェットから吸い上げたガソリンの流量を調節する蛇口の役割をしています。ニードルはキャブ本体と接触して磨耗するので、こういう機会に交換しましょう。VTRにはありませんが、ニードル取り付け位置にクリップがついてて高さを変えられるモデルも多いです。蛇口で言うと水の勢いを変えるみたいなもので、これまたキャブセッティングの勘どころのひとつになります。VTRでこれをやるには、ワッシャを咬ませて高さを稼ぐことになります。
ピストンバルブ内部
真中に見えてるフタで、ニードルをバネで押さえ軽ぅく固定してあります。左にチョコっとひねるだけで外れます。なおバネのせいか、ニードルは真っ直ぐにはなりません。微妙に曲がりち●ぽなのがご愛嬌ですね。え、くどい?
フロートチャンバーを開けたところ
ここを開けると一気にガソリン分が気化し、部屋の中は相当モワくなります。要換気。家人のヒンシュクを買うこと間違いなし。ある意味オナニー以上に一人でこっそりとやることをお勧めします。
内部の状態は、ずっと乗りつづけているだけあってきれいなものです。メインジェットとかスロージェットとかがついていますので、外せるものは外します。メインジェットを外したら、メインジェットの土台になるメインジェットホルダーも外します。なお「不明」と書きましたが、本体と一体化していて外せないジェットが1本あります。多分チョーク(スターター)系統と思いますが違ってたらごめんなさい。ジェット類はいずれも真鍮製で柔らかいので、サイズのあったドライバーで外さないとすぐに欠けてしまいます。
フロートのピンは、VT250FEは結構固く圧入されてて極細ドライバーとかを使って叩かないと抜けませんでしたが、VTRはスッと抜き差しできるようになっていました。
フロートを引き抜くと、小さなフロートバルブがぶら下がってついてきますので、フッ飛ばさないように気をつけましょう。
なお中身はキレイなものでした。ずっと乗っていたのだから当たり前でしょう。
これが始動不能の放置車両となると手強いです。ガソリンは劣化するとネバネバで緑色になりツーンと鼻をつく臭気を発します。俗にいう腐ったガソリンというヤツです。こうなると掃除のしがいがあります。また、腐るに至っていなくて一見キレイでも、ニオイからして普通のガソリンと違ってる場合は、すでに粘り始めてジェット類の穴を塞いでいるケースがあります。見た目だけでは分かり難いので、こういう場合もとにかく洗っちゃいます。
フロートチャンバーのガスケット
このガスケットゴムについてる赤茶っぽいヤツって何だと思いますか?自分はおそらくシリコングリスのカスではないかと思います。サービスマニュアルには特に油脂類を塗布する指定はありませんが、今回組み付ける時はガスケットに薄くシリコングリスを塗ってみることにしました。
ガスケットとドレンスクリュー
先にガソリンを抜くのに使ったドレンスクリューですが、ここのOリングもお忘れなく。ガスケットは再利用しません。新品交換です。部品を注文するとこのフロートチャンバーのガスケットを含め、片側キャブにつきOリング類が全てセットになってるので、2点取り寄せて全部のゴム部品を新品に替えます。
ジェット類
ここまで取り外したものを並べてみました。ジェットの番手は前後ともメインジェットは115番、スロージェットは35番です。番手というのは穴の大きさです。これまたキャブセッティングのキモです。今回は掃除が目的なのでセッティングには一切手を出しませんが、マフラーを換えたりした場合プラグの焼け色を見ながらこの番手を変えたり、上述のニードルの高さを調整したり、色々やってベストを探ることになります。自分はやったことありませんが。
ちなみに、記憶によるとVT250FEはMJは前92後90、SJは前後38でした。
ジェット、フロートを撤去したところ
今回フロートバルブも新品に換えましたが、写真で示したバルブシートもセットで部品が出ちゃいましたので、ここも交換します。タンクからキャブレターに運ばれたガソリンが最初に通る場所です。
バルブシート
アミが被さってますが、これはゴミフィルターです。ここが汚れてるということは、ガソリンタンクの中からゴミが来たということです。タンクの中が錆びているとここに砂状の錆カスがたまるので、ガソリンコックを外さなくても見当がつけられます。うちのVTRのはキレイです。良かった。
では次回はいよいよ洗いにかかります。
(つづく)