MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ありきたりの映画』 0点

2012-04-26 23:55:39 | goo映画レビュー

ありきたりの映画

1972年/フランス=イタリア

ネタバレ

‘パレーシア’の確立

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 『たのしい知識』と同じ1968年5月頃に撮られたと思われる作品が、本作『ありきたりの映画』である。主にナンテールの3人の学生とルノー社フラン工場の2人の労働者の議論を中心に、学生運動などのシーンが間に挿入されている。
 『たのしい知識』において映画の可能性を突き詰めたジャン=リュック・ゴダール監督の‘答え’は、議論を繰り広げている登場人物たちが草に覆われてよく見えずカット割も使わないままただだらだらと撮られているというものだった。それは皮肉めいたタイトル「その他多数と同じような映画作品」に相応しく、時々挟まれる白黒フィルムで撮影されたアーカイヴ映像以外は、ラストで‘青’という文字で埋められた左側と‘赤’という文字で埋められた右側の‘攻防’くらいが唯一演出らしい演出である。5人の議論のテーマは虐げられている学生と労働者が協力してブルジョワジーと戦えるのかどうかなのであり、いわゆるミシェル・フーコーが唱える「力弱き者がその弱さにもかかわらず強き者の犯す不正義を批判する言説」である‘パレーシア’の確立なのであるが、多くの学生は卒業すればブルジョワジーに組み込まれるため、労働者と協調しにくい。要するに最後で言われるように美学と経済学次第なのである。
 『たのしい知識』からの悪意のこもった極端な‘振幅’は素晴らしいのであるが、この作品そのものは全く面白くない。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クルマそのものの問題 | トップ | ある気の毒な夫について »
最新の画像もっと見る

goo映画レビュー」カテゴリの最新記事