MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『幕が下りたら会いましょう』

2022-01-08 00:58:02 | goo映画レビュー

原題:『幕が下りたら会いましょう』
監督:前田聖来
脚本:前田聖来/大野大輔
撮影:春木康輔
出演:松井玲奈/筧美和子/しゅはまはるみ/日高七海/江野沢愛美/濱田のり子/袴田吉彦
2021年/日本

「劇中劇」の扱い方について

 ストーリーを整理してみたい。主人公の斎藤麻奈美は実家の美容室を手伝いながら「劇団50%」という劇団の主宰を務めている。麻奈美は高校生の頃『葡萄畑のアンナ・カレーリナ』という芝居を披露して2006年9月に賞をもらっているのだが、実はこの脚本は麻奈美の妹の斎藤尚が書いたものだった。
 その斎藤尚と麻奈美は実は父親が違うのだが、尚は知っていたようだが、麻奈美は最近まで知らなかった。そのためなのか尚と麻奈美の仲はあまり上手く行っていないように見える。
 ところが尚は勤めている会社の上司に強要された形で深酒をして、見知らぬ会社の敷地内で吐瀉物を喉に詰まらせて亡くなってしまうのであるが、その直前と思われる2019年2月7日の深夜に尚は麻奈美に電話をしたものの、気づきながら電話に出なかったことを麻奈美は後悔することになる。
 尚の追悼の意味も込めて麻奈美は『葡萄畑のアンナ・カレーリナ』を再演することを決心し、主役まで変えて舞台稽古までしたのだが、結局、尚と自分自身のことを新作の芝居として上演することになるものの、本作のラストは麻奈美が一人でラーメンをすするシーンで終わっている。
 どうもツッコミどころ満載のストーリーで、そもそも尚が脚本を書いたのであるならば、何故尚が劇団に参加していないのか分からないし、本作で一番肝心なことである、尚が麻奈美に何を電話で伝えたかったのか麻奈美が知ろうとしないことが不思議で、『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督 2021年)を観るまでもなく、やはり劇を題材にしているのであるならば、実際に劇を演じなければ説得力がないと思うのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-107772


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