原題:『The Zookeeper's Wife』
監督:ニキ・カーロ
脚本:アンジェラ・ワークマン
撮影:アンドリー・パレーク
出演:ジェシカ・チャステイン/ヨハン・ヘルデンベルグ/マイケル・マケルハットン
2017年/イギリス・アメリカ
ナチス党親衛隊大尉の「優しさ」について
1939年から1945年までドイツが占領していたポーランドのワルシャワでワルシャワ動物園を経営していたヤンとアントニーナのジャビンスキ夫妻がユダヤ人たちを救出するという実話を基にした物語である。
ジャビンスキ夫妻はナチス党親衛隊大尉で動物学者でもあるルッツ・ヘックの監視下に置かれており、なかなか自由に行動することができないのであるが、それでも夫妻の考えに共感する人たちの陰の助けもあって300人のユダヤ人を救うことができた。
もちろん彼らの勇気によって多くの命が救われたのではあるが、ルッツ・ヘックのアントニーナに対する密かな愛情も結果的にユダヤ人たちを救ったことも事実ではある。その「情」というものがあくまでもアントニーナに対するものだけだったのか、あるいは動物学者という職業を選んだヘックの生来の優しさなのか、いずれにしても最後にアントニーナの息子でヒトラーの悪口を言っていたリシャルトを射殺できず「悪」になりきれなかったヘックの気質がユダヤ人に味方をしたことは間違いないであろう。