原題:『リバーズ・エッジ』
監督:行定勲
脚本:瀬戸山美咲
撮影:槇憲治
出演:二階堂ふみ/吉沢亮/上杉柊平/SUMIRE/土居志央梨/森川葵
2018年/日本
「生き生き」としたインタビューと「死の魅惑」の関係について
主人公で女子高生の若草ハルナは観音崎と付き合っているのであるが、観音崎たちにイジメられ、高校に隣接する使われなくなった校舎のロッカーに裸で閉じ込められていた山田一郎を助けたことをきっかけに話しをするようになる。
山田は田島カンナと付き合っているのであるが、山田は自分が同性愛者だということを隠すために付き合っているだけで、カンナはそのことを知らないために、山田と親しくしているハルナのことを快く思っていない。
観音崎はハルナがいながら抑えきれない性欲を処理するために小山ルミを呼び出しては避妊もせずに薬物を使用しながらセックスをしているのであるが、妊娠してしまい、観音崎に手術費用を払ってもらおうとしたら、口論になり首を絞められ気絶してしまう。殺してしまったと思った観音崎は山田と共にルミの「死体」を埋めるために準備をしに行っている間に、ルミが目覚めて家に帰るのであるが、今度はルミの部屋で日記を読んでいた姉と口論になり姉にカッターナイフで滅多切りされて殺されはしなかったのだが、流産してしまうのである。
同じ高校に通っている吉川こずえはモデルとして活躍しているのであるが、摂食障害に悩まされている。ハルナと山田とこずえは河原に残された白骨化した死体を共有する。「死」が3人の絆を作っているのである。
嫉妬により山田とハルナが密かに学校で飼っている子猫を殺した後に、ハルナの住んでいるマンションに放火しようとして自分にも火をつけてしまったカンナはマンションからゴミの集積所に火だるまで落ちて亡くなるのだが、それを目撃した山田は興奮している。
このような微妙なすれ違いの連続が人々を破滅に追いやり、ハルナが引っ越す前夜、山田がプレゼントとしたウィリアム・ギブスン(William Gibson)の『愛する人(みっつの頭のための声)(The Beloved (Voices for Three Heads))』という詩集の詩を唱和して終わる。
ギブスンの詩は効果的だと思われるのだが、演出の趣旨がいまいち分からないのが、ストーリーの間に挟まれる登場人物のインタビュー映像である。彼らをインタビューしているのが誰なのかも分からないし、カットを変えて撮られているということはそのインタビューの映像そのものが「生」ではなく「演出」が施されているという意味になる。この「生き生き」としたインタビュー映像と「死の魅惑」というテーマが上手くかみ合っていないのではないだろうか。