原題:『En chance til』 英題:『A Second Chance』
監督:スサンネ・ビア
脚本:アナス・トーマス・イエンセン
撮影:マイケル・キース・スナイマン
出演:ニコライ・コスター=ワルドー/マリア・ボネヴィー/ウルリク・トムセン
2014年/デンマーク
十分に描かれない「セカンドチャンス」について
予告編を観て楽しみにしていた作品だったが、サスペンスドラマとしては思ったよりストーリーの盛り上がりに欠けていた。主人公で刑事のアンドレアスと妻のアナが彼女の両親と不仲である原因が描かれていないことが大きいと思うが、なによりも自分の急死した赤ん坊のアレクサンダーとトリスタンとサネの夫婦にネグレクトされていた赤ん坊のソーフスをアンドレアスが密かに取り換えた後、すぐにアナが橋から飛び降り自殺をしてしまい、原題の「セカンドチャンス」が消化不良で彼女の葛藤が伝わってこないことも小さくないと思う。
ラストで転職したアンドレアスが働いているホームセンターでサネを見かけてうろついているところを、かつて赤ん坊だったソーフスが「道に迷ったの?」と問いかける。その問いにアンドレアスはなかなか答えられないのであるが、もちろんその「道」には「人生の」がかかっており、迷わされた本人に訊ねられたからであろう。