原題:『The Spongebob Movie:Sponge Out of Water』
監督:ポール・ティビット
脚本:グレン・バーガー/ジョナサン・エイベル
撮影:フィル・メヒュー
出演:アントニオ・バンデラス/トム・ケニー/ビル・ファッガーバッケ/クランシー・ブラウン
2015年/アメリカ
「子供向け」という言い訳を必要としない子供向け作品について
『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』(原恵一監督 2015年)が「間」を重視する日本のアニメーションを代表するほどのクオリティーの高さを示すならば、本作がアメリカのアニメーションを代表するものとして捉えても構わないと思える理由は、別に盗まれたレシピを巡るストーリーが単調すぎるという皮肉を言いたい訳ではなく、むしろこれほど内容が無いにも関わらず観賞に耐えられるグラフィカルな映像美が逆に凄いのである。
唯一実写として登場している海賊のバーガー・ビアードが明らかに『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウを意識していることは言うまでもなく、後半で変身したプランクトンがマーベル・コミックのハルクにそっくりで、『ナイトミュージアム/エジプト王の秘密』(ショーン・レヴィ監督 2014年)でも言及したが、もはやオリジナルを追求するよりもいかに多くのネタをつぎ込めるかで作品の出来の良し悪しが判断されているように見える。