損保ジャパン東郷青児美術館で催されている「不思議な動き キネティック・アート展
~動く・光る・目の錯覚~」とBunkamuraザ・ミュージアムで催されている
「だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵」展がどちらもモダンアートのインスタレーションを
取り扱っている理由は、夏休みということで子供たちに楽しんでもらおうという意図が
あると思う。つまり難解と言われるモダンアート作品を楽しめるのは意外と美術に
詳しくない子供たちなのかもしれない。「キネティック・アート展」は1960年代の
イタリアの作品が中心で、「だまし絵Ⅱ」は最近の作品が比較的多いのであるが、
例えば、ダヴィデ・ボリアーノ(Davide Boriani)の「磁力の表面(Superficie magnetica)」
(1961年/64年)は磁石で鉄粉を動かすアート作品なのであるが、50年前の
作品であり磁石の磁力が弱まっているために、制作された当初より明らかに鉄粉の
動きが悪くなっている。
ところで上の写真は「グルッポT」と呼ばれる、ミラノで1960年に結成された
アーティスト集団で、真ん中に写っているグラツィア・ヴァリスコ(Grazia Varisco)は
1937年生まれの当時22歳で作品よりも本人を展示すればいいくらいの美人である。