現在、世田谷美術館で催されている、「ボストン美術館 華麗なるジャポニズム展」では
クロード・モネ(Claude Monet)の「ラ・ジャポネーズ<着物をまとうカミーユ・モネ
(Madame Monet in a Japanese kimono)>」(1876年)を観ることができる。
この作品は下の作品である「緑衣の女(La Femme en robe verte)」(1866年)と
対をなす作品であり、確かにモデルは同じ妻のカミーユで、右側から後ろを振り向かせる
ポーズも同じなのであるが、「緑衣の女」が暗い色調に対して「ラ・ジャポネーズ」は
華やかに描かれている対称性も見せる。しかし「ラ・ジャポネーズ(La Japonaise)」の生々
しさは実際に観てみると、着物の柄として描かれているはずの武士があたかも生きている
かのように見えて、トリコロールの扇子を持って笑顔で右を向く金髪のカミーユと刀の柄を
握りながら睨みを利かし左を向く黒髪の武士の顔が対称的に描かれているのである。