英題:『Man in Love』
監督:ハン・ドンウク
脚本:ユ・ガビョル
撮影:ユ・オク
出演:ファン・ジョンミン/ハン・ヘジン/クワァク・ドゥオン/チョン・マンシク
2014年/韓国
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2014)
ラストショットでリアリティーを失う佳作について
韓国映画ではお決まりの高利貸しの借金取りを主人公に据えた作品ではあるが、決して陰惨なものではなく、例えば、「下ネタ」をラストで「愛の言葉」に昇華させるなどのギャグも的確に挿入された良質のメロドラマに仕上がっている。だからネタバレを控えるために詳細は書かずにおきたいが、どうしても分からなかったシーンがラストに挿入されていたことは指摘しておきたい。
ラストで映される部屋は、確か主人公のテイルの兄の娘の部屋だったように思う。彼女がテイルから送られてきたスマートフォンを手に嬉しそうにはしゃいでいた場所だからである。作品の最後のショットにおいてその部屋にはある人がいて窓から外を眺めているのであるが、顔が映されることはなく、ただ背中が映されるだけなのである。当然のことながら、その人物を私は娘だと認識した。その娘とテイルは気が荒い点が似ており、いなくなったテイルに「失恋」した娘が髪を切って、テイルを想いながら外を見つめているのかと思ったのである。すっかりボケてしまったテイルの父親が、息子の恋人のホジュンのために再びバス運転手として復帰する件までは問題なく、最後になって急に死んだ主人公が生き返ってファンタジーになってしまったことが解せないが、監督がその人物をテイルだと指摘していたので、監督の言う通りなのであろう。