昨日、優勝を決めた正代の相撲、立ち遅れ気味だった上に、腰が高くて相手につけこまれる原因になってしまった。いやあ、勝ったから良かったものの、緊張のしすぎと正直思った。
それで今日の新聞を見ると、悪い体勢になるイメージが頭をよぎって朝の5時まで寝付けなかった。取り組み直前まで心臓の鼓動が自分でもわかるほど緊張していたということが書かれている。
そうだったんだ、と思った。
新聞でこういう後日談を読んで、また優勝の感慨を新たにするのもファンの楽しみの一つだ。
テレビが普及したとき、スポーツ新聞が売れなくなるのではないかという懸念があったそうだけれど、ファンはテレビで勝利を見て、またスポーツ新聞で選手のコメントを読んだりするという具合にかえってテレビの普及でスポーツ新聞の売上が上がったという話を聞いたことがある。
よくわかる話だなと思う。
後日談と言って思い出すのはまだ僕が生まれる2年前、昭和35年の大阪場所千秋楽、栃錦と若乃花の史上初の横綱同士千秋楽全勝対決というのがあった。
決戦の前の日、若乃花が不安を紛らわそうと映画館に行くと、前にでかい男が座っていたので見ると対戦相手の栃錦だったという。
そうか、栃錦も不安で映画を見に来ていたのかと思ったら若乃花は気が楽になって翌日の全勝対決に勝利したという。
そのときの映画は若乃花は西部劇だったと言い、栃錦はドイツの恋愛映画だったと言い、両者の言い分が異なっているという。
こういう話をきくと、栃錦と若乃花が決戦の前日に映画館で鉢合わせたっていう話は本当なのかと思ってしまう。
この栃若の全勝対決、左のがっぷり四つの力相撲だけれど、最後は栃錦が左の差手を抜いて若乃花の上手を切りに行って腰が浮いたところを若乃花につけこまれて寄り切りで負けている。
差手を抜いて上手を切りにいけば腰が浮いて危ないことは素人でもわかりそうな気がする。
やはり前日に、映画を見に行くほど緊張していたので動きがぎこちなくなったのかも知れない。
大相撲往年の名勝負というようなテレビ番組で、この栃若の勝負がビデオで流れると、栃錦のファンだったという母は、これは栃錦が負けた相撲だから見たくないと言っていつも目をそむけていた。
まあ、そういういろんな後日談があるところも相撲の楽しみの一つだと思う。
しかし、正代も本当に土俵下で感慨深そうな顔をしていることが新聞の写真で見ると改めて伝わってきて胸がジーンとなる。
最近の安定していて思い切りの良い取り口を見ると横綱を狙える雰囲気があるような気がするので本当に正代には頑張ってほしいなと思う。
熊本の人も喜ぶと思うし、、、。