「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

中国のプロレタリア作家「茅盾」

2009-05-29 09:26:22 | 多喜二と同時代を生きた人々
『藻を刈る男 茅盾短編集』「発見と冒険の中国文学④」 茅盾(マオトン)著 宮尾正樹・白水紀子・伊藤徳也 訳 JICC(ジック)出版局 1991年6月 ISBN4-7966-0129-5

 茅盾(Mao Dun・1896~1981)は、中国の近代の有名な作家で文芸批評家。
日本では、「ぼうじゅん」と読み、中国語では「マオ トン」と読む。

「茅盾」はペンネームで、本名は沈 徳鴻(シェン トーホン)。

最初、処女作発表の際、本人は「矛盾」としたらしいが、それを見た編集者兼友人が、明らかに偽名とわかると「茅盾」にしたとおもしろいエピソードが、これは解説に紹介されている。



この本の作品は、1930年代の中国共産党が支配する前の中国が描かれている。
上海の都会を舞台にした作品と貧しい農村の農民を描いた作品が収録され、、農民を描いた作品『春蚕』『質屋』『藻を刈る男』に迫力がある。
資本の力に押しつぶされながらも逞しく生きようとする人々、悲鳴にも似た時代状況描写に迫力がある。

小林多喜二の「蟹工船」につながるようなプロレタリアート文学。
『第二章』という作品は、日本が起こした上海事変を中国人の労働者側から描いた好短編。

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