6月5日6時13分配信 河北新報
人の歯茎にそっくりな医療用の口腔(こうくう)模型を、大崎市の歯科技工所「テクノ・キャスト」と東北大流体科学研究所の太田信准教授が共同で開発した。手触りもメスを入れた感触も実物に近い。一般歯科でも口腔外科の手術技術の向上が求められていて、歯科医の予行演習、学生の練習用として普及しそうだ。
歯茎の粘膜は、合成のりに使われるポリビニルアルコール(PVA)をゲル状にして作製。生体同様に水分を多く含み、分子量を調整して実物に近い硬さにした。
歯茎の中にはPVAとアクリル樹脂、おがくずで作った骨を埋め込んだ。おがくずの粒の大きさを変え、削った時の感触を人骨に近づけている。
東北大歯学部の協力を得て30以上の試作品をテストし、最終的に「メス、縫合の感覚とも生体そっくり」(歯科医)な完成品に仕上げた。
口腔模型は従来も製品化されているが、シリコン、樹脂製で実物より硬く、メスを入れた感触も実際とかけ離れている。このため、手術の手順を学ぶことはできても、力加減やメスさばきの練習には不向きだった。
新しい模型は、低コストで製造でき、素材は再利用できる。口腔模型市場は年間8億円規模と言われ、歯科医や学生のほか、口腔内ケアを行う歯科衛生士の需要が見込まれている。
同社は2008年度に量産を始める予定。1億円の売り上げを目指し、みやぎ産業振興機構、東北経済連合会の支援を受け、販売先などの開拓を進めている。
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