旧日本国有鉄道広尾線幸福駅 (帯広市)
平成15年6月24日火曜日。ホテル若松で気持ち良く目覚める。窓の外は曇り空のようだ。レストランへ行き、朝食(700円)をとる。昨日のホテルのように客は自分だけという事は無い。まあ他には2、3組しかいないから空いている。旅行中は毎朝きちんと米飯を食べている。なんと健康的なことだとう。和食だったが飲み物はご自由にとなっているので食後にコーヒーを飲む。部屋に戻ってゆっくりしたいが、荷物をまとめると午前9時前に宿を立った。
旅行でよく大阪の宿を利用するが、いつも朝は部屋でゆっくりしてしまい、午前10時頃まで宿にいる事がある。これだと当日に東京から新幹線で行ったほうが早い。だからといって朝早く宿を立ってしまおうとは思わない。
駐車場の車も随分少なくなっている。午前9時前に出発なんて自分には上出来なのだが、どうも遅く出発する部類になったようだ。大通をR236を北へ。東西に走るR38と平面交差する。交差点を越えて直進するとR241となる。ここが帯広の西何条、南何丁目の中心になるのだろう。R236は日高管内浦河町から野塚トンネルを経て十勝管内広尾町までは2日前に走っている。そこから帯広市に至る国道だ。R38は滝川市を起点に富良野市、そして狩勝峠を越え、十勝平野へ下ってくる。帯広市からさらに西へ、釧路市の幣舞橋が終点という道央と道東を結ぶ重要な路線だ。札幌方面には短絡するR274(石勝樹海ロード)が日勝峠経由で通じている。今日はこの峠を通過する予定である。そしてR241は帯広市から十勝管内上士幌町、同足寄町を経て阿寒湖畔を通り、摩周湖や屈斜路湖のある釧路管内弟子屈町へ至る国道である。8年前に走った時には内地ナンバーが連なっていた。(私は山口ナンバー)
ここの交差点だけで話が長くなった。R38を上り滝川方面に行く。やがて帯広・広尾自動車道のサインが目に入る。道東自動車道から分岐して広尾町へ至る高速道路だが暫定無料区間で帯広川西ICまで開通している。まっすぐ道央に戻るつもりだったが思わずICへ。こんなところに高速道路はいらないだろうと思う。無料だからいいけど。走っているのは道路延伸工事のトラックばかりというのが皮肉である。
終点となり一般道に戻る。R236である。今朝の宿の前の道である。一体何をしているのだろうか。ちなみに高速はとかち帯広空港までは開通していない。ここまで来たらあそこへ行くしかない。空港ではない。国道は道路工事による片側交互通行の区間があったり、交通量もややあり、あまり快適ではない。平行する道を行く。国道より交通量も少なく快適だ。そして7年ぶりのその場所に到着した。
前回も車による訪問だった。鉄道は昭和62年(1987)に廃止されており、車でないと行けないような場所だ。以前よりも駐車場(無料)がよく整備されている。空港が近いので立ち寄る人(観光バス)も多いのだろう。駅前(旧駅前?)のみやげ物店では「愛国から幸福」のきっぷも売っているのだろう。愛国も旧広尾線の駅である。郵便局の臨時出張所も頑張っている。駅舎内外に千社札のごとく貼られた定期券等を見てからホームへ。列車が2両留置されている。車内に入ってみる。こんな列車で広尾線を揺られたかった。しかし私が初めて北海道の地を訪れたのは昭和63年(1988)、国鉄もすでに無く、連絡船ではなく青函トンネルを抜けての上陸である。
来た道を戻るのは嫌なので、道道経由で日勝峠を目指す。十勝管内中札内村を少し通って道道55号線へ。田中義剛氏の花畑牧場はここ中札内村にある。十勝平野の畑の中をまっすぐに伸びる道、一列に並んだ防風林。曇り空なのが残念だが、気持ちの良いドライブだ。1時間近く走って十勝管内清水町でR274に至る。これより日勝峠である。峠を上るにつれ霧で見通しが利かなくなる。雨も降っている。道央と道東を最短で結ぶ路線だが標高も高いところを通るので天候の影響を受けやすいのだろう。冬季の苦労も偲ばれる。以前は悪天候ではなかったので気にしなかったが、高速道路を造るのなら、こういう所に造るべきである。そして名阪国道のように無料とするべきだ。
峠をトンネルで抜けて十勝から日高に入ると天候は回復した、というより雨が降っていた様子も無い。沙流川の源流に沿って坂を下って行く。ややひらけて日高管内日高町の中心部へ。道の駅「樹海ロード日高」で休憩。生ミルクソフト(250円)を食べる。郵便局や金融機関もあり、通過する人の為だけでなく、地元の人も利用する道の駅にもなっているらしい。
日高を出発。帯広-札幌間の高速バス(ジェイ・アール北海道バス)を追いぬく。高速バスといっても未開通の十勝清水IC-夕張IC間はR274(石勝樹海ロード)経由である。先ほど十勝管内から日高管内に入ったが、この後、リゾート地で有名なトマムがある上川管内占冠村を少し走り、胆振管内穂別町、そして夕張市へと十勝、日高、胆振、石狩と4国の国境地帯を走る。山岳路線である。休憩を除いても十勝清水から夕張ICのある夕張市紅葉山まで2時間以上かかった。足寄に高速道路を開通させている場合ではない。 (つづく)