特急券・B寝台券☆☆☆
昨年12月、ついに寝台特急〔富士〕〔はやぶさ〕の廃止が発表されてしまった。3月13日が最後の運転日となる。山陽本線沿線の岩国生まれ育ちなので、子供の頃からブルートレインを見てきた。時計代わりに列車通過音を聞いていた。いつしか運転本数は減ってゆき、岩国を発着するのは〔富士〕〔はやぶさ〕の一往復となっていた。その列車が廃止となる。寂しい事この上ない。山陽鉄道からの歴史ある路線が長大なローカル線になってしまう。山陽本線を介して多くの人が東京・関西方面と九州方面を行き来した。その役割はとうの昔に新幹線に取って代わられたのだろうが、最後の砦が陥落するような感じである。
無くなるのなら乗っておかなければならない。正式発表前から今年春の廃止という話は耳にしていたので、昨年9月に
〔はやぶさ〕で熊本へ行ってきた。年末の帰省の時にも利用したが、〔富士〕を全区間乗った事が無い。2月中旬に〔富士〕で大分に行こうと思った。しかし廃止前に乗りたい人は多いらしく、土曜日出発の列車を一ヶ月前の発売日に申し込んだが、上段しか確保できなかった。最後の九州ブルートレインの旅は、下段で心ゆくまで車窓を楽しみたい。翌日、改めて申し込んだところ、禁煙の下段で進行方向向きの席が確保されていた。希望通りである。新松戸駅窓口氏に感謝する。復路は〔あさかぜ〕を偲んで博多から〔はやぶさ〕を利用しようと思う。二日後の〔はやぶさ〕も禁煙下段進行方向向きの席が確保された。旅を楽しみに一ヶ月を過ごし、平成21年2月15日日曜日当日となった。新松戸-大分の往復乗車券を購入する。ちょっと身震いがする。遅れないよう気をつけて17時頃に東京駅にやって来た。
常磐線(緩行) 普通 新松戸(16:19)→松戸(16:26) クハ203-4
常磐線 普通 松戸(16:29)→日暮里(16:45) モハE531-1006
京浜東北線 普通 日暮里(16:48)→東京(16:59) クハE233-1041
17時21分、10番線に入線! (東京)
JR西日本広島支社下関地域鉄道部下関車両管理室所属のEF66 48号機
これから乗る人、見るだけの人で機関車付近は混雑している。年末と比べてロープが張られたりと警備が厳しくなっている。さて、頭から尻尾まで今日の編成を見てみよう。
【東京-下関間を牽引】
電気機関車 EF66 48号機
【1~6号車は〔はやぶさ〕熊本行】
1号車 B寝台(客車二段式) スハネフ15-2
2号車 A寝台一人用個室(シングルデラックス) オロネ15-3001
3号車 B寝台一人用個室(ソロ) オハネ15-2004
4号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-6
5号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1102
6号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-12
【7~12号車は〔富士〕大分行】
7号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-101
8号車 A寝台一人用個室(シングルデラックス) オロネ15-3004
9号車 B寝台一人用個室(ソロ) オハネ15-2001
10号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1204
11号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1202
12号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-5
プラットフォームは大変な人出!
列車を引いてきた機関車が機回しをする。この間を利用して大丸へ弁当を買いに行く。デパ地下はゆうどきで混雑している。大丸は知らない間に新しいビルに移っていた。
この時刻表も3月13日まで!
寝台特急〔富士〕は東京と大分とを結ぶ…
寝台特急〔富士〕(東京-大分)と〔はやぶさ〕(東京-熊本)の併結!
客車二段式B寝台に乗車☆☆☆
プラットフォームに戻って列車に乗り込む。向かいの下段は年配のおばちゃん。上段は向かいも真上も鉄道好きの兄ちゃんである。他の席には年配のおっちゃん。この辺の年齢層は、最も利用していた人たちが懐かしんで乗っているのだろう。若い女性も乗っているが、こちらはカップル。ただし続きの席は取れなかったらしく、男性は他の席から遠征して来ている。
進行方向向きの下段の席を確保☆☆☆
向かいのおばちゃんはプラットフォームから見送りを受け、定刻に列車は出発した。進行方向右の車窓には東京タワーが見える。左の通路の補助椅子には上段の人が腰掛けている。六郷川の河川敷では〔富士〕〔はやぶさ〕を見送る人たちが手に持った灯りを振っている。ちょっと感動した。東京都から神奈川県に入る。最初の停車駅、横浜に到着。乗る人もあるが、写真を撮る人も多い。
JR西日本広島支社下関地域鉄道部の車掌さんが検札に来る。東京から下関までの本州内を乗務する。静岡県に入り、次の停車駅の熱海に到着する。
JR東日本から
JR東海のエリアとなる。運転士も交替。
常盤軒 北海洋食弁当(950円)
大丸東京
※画像をクリックすると大きなサイズで表示します。
丹那隧道に入ったところでビールを開け、弁当を広げる。食堂車は随分前に廃止になっているから、食堂車で一盞という訳にはいかない。食後、内田百ケン[門構えに月]先生の本を読みながら寛ぐ。本の中の旅の方が魅力的である。作品中の駅名を〔富士〕〔はやぶさ〕は走ってゆく。
洗面台☆☆☆
実際の旅に戻ろう。21時を回り、そろそろ寝る支度をする。用を足しに行く。便所、洗面台、冷水機。何もかもが国鉄の汽車という感じで懐かしい。大井川橋梁を渡り、金谷を過ぎて牧の原トンネルを抜けると、お休みの放送が流れる。車内チャイム「
ハイケンスのセレナーデ」がいい。車内の灯りも減光されたし、カーテンを引いて寝る事にする。 (つづく)
寝台特急〔富士〕 東京(18:03)→大分(11:17) オハネ15-1202
シーツを敷いてベッドメイキング完了!
いずれも平成21年2月15日撮影