病室に戻ってすぐ、トイレに行き、
手術着から手持ちの服に着替え、ごろり。
点滴針がささったままですから、
一人で着替えはできません。
術衣を脱ぐのは簡単だけど
ベロクロだからばりっとはがれます。
着るのは難しい。
お手伝いいただいてTシャツとリラコに着替えました。
着替えの時に思いましたね、
前はボタン式のパジャマが必要だわ、と。
次があったら、手術する機会があったら、
きちんと用意しておこう…
手術で留守していた間に、
4人部屋で空いていたベッド二床は埋まってました。
入院前に次の日には人入りますよ、と言われてましたので
その通りになったんです。
手術組は口腔外科。
後に入ったお二方はどうやら内科のようでした。
病院によって違うとは思うんですけど、
違う科の人が同じ部屋になることがあるんだ、と。
あるんですね。
ま、口腔外科組は二泊3日で出ていきます。
長居しないから違う科の人が入ることもあるんでしょうか。
閑話休題。
手術時にはアクセサリー類は一切身につけられません。
時計も外します。
ですから、時間的感覚というか、
時計を見れるようになるまで
それなりに時間がかかっています。
なのでうろ覚えなんですが…
水を飲めるようになる前、
2時前に実家に電話かけてますので
(携帯の履歴によるとね)
その頃には何とか、動けるようにはなっていたようです。
しゃべれてますね。
手術開始が9時半頃、
終了時間予定が11時頃、
病室へ戻れたのが1時半すぎ。
軽い手術とはいえ、
快復は早いように思います。
病室にもどって程なく、
水を飲む許可が出ますから、
飲んでみてください、と言われ。
…できるかあ! と思いつつ、
こわごわ水を…
あれは飲んでるとは言わない!
ちびっと口に含んで、
それをえいやと飲み込み、
「大丈夫ですね、薬、飲めますね」と。
ホントかなあ…
大丈夫かなあ…
そんな感じです。
口の中は大変状態、
舌で抜糸したあたりをあまりいじらないようにして下さい、
糸がとれることもありますから、と言われましたが、
できません!
そんな度胸ないです!
だってついさっき切ったところですよ!
怖くて無理!
blogは3時頃に投稿してましたね、
元気なんだか、具合わるいんだかわかりませんが…
意識ははっきり戻ってます。
で、その3時半過ぎ頃に、実家から父親が来てくれました。
この日、東京は大変暑い日でした。
真っ昼間の一番危険な時間帯。
申し訳なかったです。
その頃にはベッドの縁に座ったりできてましたから、
少し話して。
父親はまるでタッチアンドゴーのように
あっという間に帰っていきました。
病室が1階でしたので、玄関まで
点滴用ハンガーをごろごろ言わせながらお見送り。
ええ、歩けました。
早くは無理でしたけど十分歩けます。
新山手病院の送迎バスが16時までということもあったので
長居できなかったのですが…
すぐ帰ったのは訳があったんだなと、
病室へ戻った時に鏡に写った顔見て気づきました。
顔、腫れてるんです!
特に左。
一番深く削ると言われていた左側がごーーんと腫れ上がってます。
もう、顔真四角ですよ!
腫れる腫れると聞いてはいたけどまさかこんなに顔変わるとは!
あまりにひょうきんで見入ってしまった。
まるで別人になった私がそこにおりました…
父親のお見送りができた頃には
痰の出もおさまり、
でもそれなりに出るものは出るので
ティッシュは常に手元に置いて。
帰ってくるの遅いなあ…と
私の後に手術をした人のことに意識が向いたのも
父が帰ってからだと思います。
そうこうしている内にその方もお戻りになり、
主治医の先生が夕方、食事前(か後…)にいらっしゃいました。
ホントにまめに具合を聞きに来て下さいます。
手術の経過や、
痰に血が混じる理由、
今後起こりうることを事細かに説明して下さいました。
傷口は縫っているので開くことはないけれど、
外の怪我と違い、かさぶたができないので
常に血餅が出続けるけど心配はいりません、
出血しているわけではないですから、と。
水を飲む許可が出てすぐに
出されていた頓服はすでに飲んでました。
痛みの記憶はほとんどありませんので、
座薬と頓服(処方されたのはロルカム錠でした)は
ほんとに良く効きます。
服用する期間の上限ぎりぎりまで待ってから飲んでましたので
それも手伝ってるんでしょうが…
ありがたいことに疼痛にはほとんど悩まされませんでした。
そのはずだ。
そうこうしている内に夕方。
ご飯の時間です。
え、ご飯出るんですか?
びっくりしました。
せいぜい重湯ぐらいだろうと思ったら。
何でしょう、この量!
これ、柔い食事を出される患者さんの食事と
まったく同じものなんですよ。
減量、ナッシング!
えええええー
口手術した人にも軟食がでるの?
びっくりですよ!!!!!!
食べられない、傷口に入ったらどうすんの、怖いし無理!
しかし、体は正直です。
だって昨日の晩から食べてないんです。
朝もお昼も抜いてるんです。
体は健康。
腹、減りますよね…
すききってますよね…
まるでうさぎさんのように
前歯だけでもぐもぐ。
食べるとおいしいわけです。
ああ、体はホントに健康だ。
そして素直だ。
そしてそして、食べ物を残すことに
異様な罪悪感を感じる私。
なんと1時間近くかけて完食してしまったんであります。
実際は半分ぐらいでもうおなかいっぱいだったんですが、
まずくて残すわけではないから、それができない。
後年、「ああ、あれ、きっちり食べとけばよかった」と
思うかもしれないよ、私???
…しみったれでいやですね、
けど、食べとかないとだめだよ、と
自分を励まして…
見事完食致しました。
まだ点滴は外れず、トレイを下げる時も
ハンガーを引きながら持って行きました。
途中で看護師さんが引き受けてくれて助かった。
かえりしなに歯を洗い、
朝、歯磨きした時は
まさか今日、同じ場所で
歯ブラシ使うとは思わなかったな、と…
けど、怖くて怖くて、
前歯をなでただけ。
うがいもとてもできない状態だし、
ぺっと水を吐くとまだ血がちびっと出る…
おおお、やっぱり口ん中切りましたねえ…
そう思いながら病室へ戻りました。
その頃には、同室の人とも話ができるようになってましたので
がんばったね、うん、がんばりったよね。
顔、腫れちゃったね、うん、ホントに。
そんな感じで軽く話しまして。
その日は暮れて行きました。
消灯前になんとか点滴が終わりました。
やっと針が抜けると思ったけど…
今時は、点滴針は抜かないんですね。
中で固まらないように薬剤を注入し、
手首に管を固めて、包帯で留めて。
明日の点滴に備えるんです。
痛みがあったり違和感あるようだったら抜くけど、
明日の点滴でまた針を刺すのでどうする? と。
患者の希望で選べるんですよね。
針が刺さったままのうとおしさもあるけど、
もう一度針刺されるのも…嫌だし…
別に痛みはなかったのでそのまま。
針刺したままで過ごすことを選びました。
何日ぐらいつけたままでいいんですか、と伺ったら
数日はオッケーなのだとか。
感染症の問題があるので
長期間つけっぱなしはできないけれど、とのこと。
退院時に気づかなくて針つけたまま帰っちゃった人もいるんですよーと
言ってましたけど、
いや、それ、嘘ですよね、盛ってますよね、絶対。
刺さったままの針見て、今はこれが普通なのだろうなあ、
だから針刺した場所が肘の裏側、採血の定位置ではなくて
手首だったんだと納得できたんです。
思い出すのが、やはり母のこと。
毎日の点滴が苦痛で、
針も刺さらなくなって、
看護師さんも針を通すのに苦労してました。
血管が針先で逃げるーと言ってたんですよね、と
担当の看護師さんにお伝えしたら、
そういう感覚はありますね、と…
もし、針つけっぱなしが母の頃から実現できていたら…
痛みから少しでも解放されていたのではないかな…
末期の頃、痛み止めですでに意識がない中でも、
点滴用の針を刺された時は顔をしかめたのだそうです。
針のつけっぱなしは、廃棄する針や器具が減るし、
患者さんの負担も(心身、費用ともに)軽減するし
悪いことはなにもないと思う。
こういう進化は歓迎できます。
前日はほとんど眠れなかったので、
今晩ぐらいは熟睡できるだろう、と消灯を迎えた入院最後の夜。
残念ながら…
やっぱりあまり眠れませんでした。
けど、前日よりは睡眠はとれていたと思う。
病院は療養する場所でありながら
患者に緊張感をもたらすところ。
自宅のように眠れるようになるまで、
2日では足りないということなのだと思います。
(この項、続きます)