ようこそ
三カ月ぶりに兵庫医科大学病院を受診した。血液検査とCT検査を受け、呼吸器外科の待合室で待つ事60分。多くの患者さんが順番待ちをしている。患者には同伴者も多く、この診療科の病気の重さが感じ取られる。ひそひそ話を聞いても、ほとんどが肺がんの患者のようだ。
診察室からで出来たある患者は、新たに肺がんが見つかったのか同伴者と泣き崩れている。何とも言えない光景が、この診察室では起きる。
私は、事前に豊岡病院で既に「悪性胸膜中皮腫」と診断され、この兵庫医科大学を紹介されていたので、大きな動揺は無かったが、新たな恐怖を味わった事を思い出す。
いよいよ私の順番が来た。ここで「異常なし」と言われる事は、何よりの安心感があり、夢や希望、意欲も湧く。聞きたい事も有ったので、診断結果を妻と二人で祈る気持ちで待った。CT検査の画像の説明が始まったが、何時もの事ながら素人の私には、何度見ても分かりずらい。
診断結果は、「異状は認められません。順調です」との事であった。二人で顔を見合わせ喜びに慕った。その後は聞きたいことや世間話を進めた。
主治医・・・今の所異常は見当たりませんが、再発や転移は手術後に起きる事はありません。3年から5年に起こりやすいので、今後も3カ月に一度は定期健診を続けましょう。
私・・・そうなんですか。今、体調は良いのですが、右上半身の痺れがひどいのですが、今後も続きますか
主治医・・・手術で右の肋骨を2本と神経を脇からお腹にかけて、大きく切り取っていますので、治る可能性は低いと思います。脇からお腹にかけては、全身の神経が集中していますので、痺れているのだと思います。右の肋骨が2本分空いていますので、どうしても右肩が下がると思いますし、右腕が肘より上には上がりにくいと思います。酷い人は、極端に肩が(映像を見せ)下がりますが、伊藤さんは下がり方が少ない方ですが、右腕で物を持ったり上げる事は辛いと思います
私・・・切り取った2本の肋骨の隙間が狭まって、右肩が下がると言う事ですか右胸が膨れていて、左胸とふくらみが違うのですが、これもその関係でしょうか
主治医・・・それらも手術の関係です。肺の全摘手術よりも大きな複雑な手術でしたので、過去の実績も少なく、困難な手術でした。肋骨の間隔が空いていますので、右胸を強く打つと残った肋骨が骨折しやすいので気を付けて下さい
私・・・腎臓の数値が悪いと聞いているのですが、今日の血液検査の結果はどうでしょう
主治医・・・最高に悪かった時が(データーを見せて)これでしたが、少しは下がっていますが、悪い状況です。おそらく抗がん剤治療の副作用が残っていると思います。強い薬や大きな手術では、必ず少なからず後遺症は残ります。医学は進歩していますが、絶対と言う事はあり得ません。同じ病でも人によって、症状や副作用、後遺症、余命もまちまちです。伊藤さんは、すごい回復力でしたが、これも人それぞれです。運と言うと叱られますが、それも有ると思います。
私・・・よくわかりました。今後も抗がん剤を打つことは可能でしょうか
主治医・・・その時でないと何とも言えませんが、御承知のように「オプジーボ」などの治療方法も認可されましたので、その時になったら最善の方法で対応したいと思います。城崎はもう雪は降っていますか
私・・・一度か二度ほどみぞれは降りましたが、降雪は有りません。神鍋の方は少し白くなっていますが・・・
主治医・・・そうですか。そうですね。まだ少し早いですかね次回は、4月に定期診察をしたいと思いますが、ご都合はどうですか?
私・・・都合はありません。診察が都合の一番になっていますので何時でも大丈夫です先生のお陰で、こうして生きていて、今年は2人の孫が誕生し抱くことが出来ました。当時は、こんなことは夢にも思いませんでした。
主治医・・・そうですか。それは良かったです。おめでとうございます。可愛いでしょう大変な病でしたからね。
私・・・ありがとうございました。必ず来年の4月に伺いますので、来年もよろしくお願いします。
診察室を出て、改めて妻と喜び合い精算を済ませて駐車場に向かった。すると前回の診察時には立派な新しい大学の校舎が完成していたが(入院していた当時に窓ガラス越に工事は見ていたが)また新たに古い校舎を建て替えるのか、解体工事が進められている。単科大学なので、大学自体はそれほど大きくないが、付属病院と同居しているので大きく見える。神戸と丹波篠山市にも系列の専門大学と医療センターがある。病床は900床で豊岡病院の150%くらいだが、診療科も多く医師の数も圧倒的に多く、一つの診療科にも何人もの医師が勤務している。研修医も含めるとすごい人数だと思う。
感心しながら帰途に就いたが、やれやれこれで年末年始は穏やかな日々送れそうだ取りあえずは3月の保証を得た気分である。ヤッター
では又ね
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