道端鈴成

エッセイと書評など

無能なトップを替える能力の欠如はそのトップをいだく集団を滅ぼす

2011年05月28日 | 時事
Fact-Finding Mission Visits Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
"Visiting Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant was a once-in-a-lifetime experience - once in 10 lifetimes, I suspect. Our team left with great admiration for the extraordinary workers who have been undertaking such immensely difficult tasks," said team leader Mike Weightman, the United Kingdom's chief inspector of nuclear installations.  (IAEA International Fact-Finding Mission Updates 27May)(「福島第一原発の訪問はおそらく生涯に一回あるかないか(十回の人生に一回だろう)の経験だった。我々のチームの誰もが、このようにひどく困難な課題に取り組んでいる並外れた作業員達に大きな感銘を受けて現場を後にした。」と視察チームのリーダーで、英国核施設主任視察官のMike Weightmanは語った。)

韓国首相が「日本が無能」
 韓国内では、日本から事前連絡がなかったことに不満が噴出しているが、議員がこれに関し「韓国の外交的な無能ぶりを示した」と指摘したのに対し「『韓国ではなく、日本が無能だ』と言いたい」と答えた。金首相はまた「(日本政府と東京電力が)全ての問題を臨機応変に解決していく指導力を示すことができなかった」と述べ、強力なリーダーシップの欠如が事態を深刻化させた大きな要因との見方を示した。 (日刊スポーツ 4月7日)

「なお日本軍を圧倒したソ連第一集団司令官ジューコフはスターリンの問いに対して、日本の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能であると、評価していた。」(「失敗の本質」戸部他、中公文庫、p68)


「失敗の本質」からの引用はノモンハン事件における証言である。大東亜戦争における諸作戦の失敗と原発事故には共通点がある。トップは無能だが現場が優秀だから良いなどと言ってはいられない。とくに危機や状況が大きく変わる際にはそうだ。トップの戦略と決断の失敗は、現場の努力ではカバーできないことが多い。問題は二つある。一つは優秀なトップが育つような環境や教育の機会である。もう一つはトップの選択である。ここは組織のあり方が関係して難しいところもあるが、仲間内の論理でトップを選ぶと失敗する。また、無能さが明確になったら本人がどのように言い逃れをしたり逃げをうとうと、重要な立場であればあるほど、とっとと替えなければだめだ。あの人なりに頑張っている、しかたないなどと言って、無能なトップをいつまでも許容している集団は危機を生き延びられない。

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