道端鈴成

エッセイと書評など

北海道で115年ぶりの寒冷記録更新:70年代には地球寒冷化の危機が叫ばれていた

2008年08月22日 | 時事
北海道・稚内で1・5度…115年ぶり8月の記録更新

 北海道では22日、上空に冷たい空気が流れ込んだ影響で、道北地方を中心に冷え込んだ。

 最低気温は稚内市沼川で1・5度を記録、日本気象協会北海道支社によると、1893年に帯広で観測した2・1度を下回り、道内の観測地点の8月の最低気温としては115年ぶりに記録を更新した。

 このほか、上川町で3・0度、豊富町で3・5度などを観測。

 いずれも10月上旬から下旬並みの寒さとなった。(2008年8月22日 読売新聞)



これはあくまでローカルな一つの観測結果にすぎない。

しかし、池田氏はCO2排出権取引に関する2008年6月4日の記事で、最近の情報を紹介し次のように述べている。

「今年初め、世界の主要な4つの気候観測機関がそろって、2007年に地表の平均気温が約0.6~0.7度下がったことを発表した。これは年間としては記録史上最大の低下であり、その後も続いている。」

したがって、今回の観測は場所的にローカルな出来事ではないとはいえる。時間的には、短期、長期、複数の要因の重なった結果だろうが、ふれの大きから、短期だけの要因ではない可能性も考えられ、事態が温暖化危機論者のいうようなものとは全く違うかもしれないことを示唆しているとは言えるだろう。

実際、カールセーガンの「コスモス」の頃は、地球寒冷化の危機が叫ばれていた。

Ch4の"Global Warming Swindle"には、かつて愛読していたNigel Calderも出ていて懐かしい気がした。Nigel Calderは、1970年代の地球寒冷化騒ぎの頃を現役で経験した老練の科学ジャーナリストだ。気候変動についての本もある。

今回のCO2温暖化騒動は、以前の地球寒冷化の騒ぎの比ではない。膨大な掛け金がすでにかけられてしまっている。気候シミュレーション(観測値が信頼性に乏しく不十分で、再現性のある実験による検証もできず、パラメーターは膨大で、結果の操作可能性が著しく高い)と都合のよいところにカラリングなどを設定した印象的グラフィックを用いた錬金術師から、国際利権政治屋、マネーゲーマー、危機をあおって視聴率をかせぎたいマスメディア、それを信頼する善良な人たちと、多くのプレイヤーが関わって、「人為的CO2=>温暖化=>危機=>政治介入」のストーリーに従った巨大な動きが生じてしまっている。

「人為的CO2=>温暖化=>危機=>政治介入」のストーリーについては、人為的CO2が温暖化の主要な原因なのか、温暖化の程度はほんとに危機なのか、排出権取引という介入のしかたが有効なのか、等々、すべての段階について、理にかなった批判がなされている。

現在展開されているCO2だけをターゲットとした一面的誇張と煽動による運動は、実効的でバランスのとれた環境問題への対応を阻害するだけだ。




CO2の地中貯留について

2008年08月22日 | 時事
CO2の地中貯留技術、2020年までに実用化 政府が行動計画案

 地球温暖化防止のための国内対策を盛った政府の行動計画案が18日、明らかになった。温暖化ガスの排出削減に向け、石炭火力発電所などから出る二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する技術(CCS)を2020年までに実用化する目標を明記。今秋からの国内排出量取引の実験開始に備え、検討チームを設ける方針も示した。

 7月下旬に閣議決定する。6月に福田康夫首相が発表した温暖化の総合対策「福田ビジョン」や首相官邸の温暖化に関する有識者懇談会の提言を受け、関係省庁が具体策をまとめた。(NIKKEI NET 19日 07:00)



一定の温暖化にはプラス面も多く(逆に寒冷化の弊害も多い)、IPCCなどの依拠する地球温暖化のシミュレーション結果が過大で不確かすぎ、不安をあおる根拠となる気温データの信頼性にも問題があり(90年代のソビエトの寒冷地区の観測点の閉鎖、都市地域の局所的ヒートアイランド現象(地球温暖化とはなんの関係もない)の混入など)、人為的CO2排出が温暖化へどの程度影響しているかの因果関係があやしく、CO2排出削減による実質的効果の見込みが少なくとも、CO2排出削減対策は化石燃料への依存を減らす効果はあるので有益という意見もあるが、この記事に示されるように、間違った前提での対策ではやはりだめだ。

京都議定書のCO2削減の基準年は、1990年に設定してあるが、1990年は東西ドイツ統合の年、その後、ドイツは旧東ドイツの古い共産圏のエネルギー効率の悪い工場を閉鎖し、エネルギー効率を高めた、またイギリスではサッチャーによるエネルギー産業の自由化により石炭への依存から脱却し効率化が始まった年だ。1990年というのはEUにとってははなはだ都合の良い年だ。日本では1990年には二度のオイルショックをうけ、省エネが十分に浸透しており、さらなる削減はコストがかかりかなりきつい。EUはこれを機に、アメリカ、日本、新興産業国を牽制し、次代のイニシアティブをとろう、その格好の舞台というところ。アメリカ、カナダ、オーストリア、中国、インドなどは距離を取っているが、日本政府はそれにのせられ、あげくの果て、地中にCO2をなどという、京都議定書対策にしかならないだろう苦し紛れの計画案をだす始末だ。CO2を大気に出さないためだけで、代替エネルギーの開発や効率化にはつながらない。資金や技術開発力など将来のためのリソースを地中にむざむざ捨てるようなものだ。

富士山 初冠雪 過去最速の可能性

2008年08月20日 | 時事
冠雪が観測された富士山=9日、富士川右岸で

 富士山の冠雪が9日、早くも甲府地方気象台(甲府市)で確認された。過去に一番早い初冠雪は1914(大正3)年の8月12日。初冠雪の認定には、日中平均気温が年間で最も高い日以降の冠雪という条件があり、夏が終わらない現時点では認定ができないが、同気象台は「過去最速の初冠雪になる可能性はある」としている。

 同気象台によると、この日は昼すぎから大気の状態が不安定になり、山頂近くでひょうが降ったとみられる。冠雪は山の一部が白くなったと同気象台から目視できた際に認められるため、ひょうでも構わないという。

 同気象台は雨上がりの午後5時20分ごろ、山頂から谷筋にかけて白くなった様子を確認。静岡市や富士市、沼津市などからもほぼ同時刻に冠雪を目にすることができた。(2008年8月10日 中日新聞 )

洪水・渇水、昆虫の増加・減少、なんであれ、異常気象の印象をあたえ、地球温暖化の危機感を盛り上げてくれるニュースは大歓迎だ。しかし、今回のニュースはやや微妙である。「地球温暖化ってほんとに深刻なの?主に人為的な原因によるものなの?」というような反動的な懐疑派の意見に耳を傾ける動揺分子が増えることを、わが心ある良心的エコロジスト同士は憂慮している。幸い、今回のニュースに関しても、FujiIPCCは、今回の結果は、人為的排出ガスの影響について、いろんな仮説を前提にものすごくたくさんのパラメーターを色々組み合わせたすごいコンピュータによるFujiシミュレータのとても、ものすごく沢山ある予測のなかの一つと一致しており、この新時代の高度な科学的研究に基づき、富士の冠雪に90パーセントの確率で人為的排出ガスが大いに影響を与えているといえなくもなくもないので、事態を非常に深刻にうけとめるべきだ、とにかく危機なので、議論の時ではない、これは人類のための保険である(もし保険がいらなかったのなら、いらなかったでよかったではないか)とにかく、四の五の言わずとっとと税金をつぎこむようにとの声名を出した。